伊藤園は今期(24年4月期)、前期好調となった「お~いお茶」「健康ミネラルむぎ茶」「タリーズコーヒー」の主力3ブランドに引き続き注力するとともに野菜飲料をテコ入れする。
前期は主力3ブランドに集中したことが奏功して、原料・資材など78億円のコスト増を売上増加で吸収して営業利益を確保した。
今期は原料・資材などで160億円のコスト増を見込む中、伊藤園連結・単独ともに増収増益を目指していく。
6月2日決算発表した本庄大介社長は主力3ブランド継続強化の方針を示した上で「野菜飲料は原料高で非常に苦労しているが、今一度、野菜汁100%飲料の『1日分の野菜』に力を入れていく。競合があまり存在しない『毎日1杯の青汁』も強化していく」と語る。
主力3ブランドの属する緑茶・麦茶・コーヒーの3カテゴリーについては、上位メーカーとの競争が激化していることから「気が抜けない」と気を引き締める。
その中で、トップシェアを握る緑茶・麦茶の無糖茶カテゴリーについては「やはりお茶に関わるところは我々が一番でなければならない」との考えのもと領域拡大に意欲をのぞかせる。
緑茶飲料ブランド「お~いお茶」は、「緑茶」(本体)「濃い茶」「ほうじ茶」「玄米茶」の基幹4品に加えて、新たに20代若年層を取り込むべく今年5月に「お~いお茶 〇やか(まろやか)」を新発売した。
加えて「抹茶も我々がナンバーワンなので、抹茶入りの『お~いお茶』にも力を入れていく」。
麦茶飲料ブランド「健康ミネラルむぎ茶」についても横展開を予定。
ノンカフェイン飲料では、販促・宣伝費用をかけずに中高年の女性に支持されて伸び盛りとなっている「黒豆茶」も「様々な提案をしていきたい」と意欲をのぞかせる。
「黒豆茶」は、カロリーゼロ・カフェインゼロ・糖質ゼロ・脂質ゼロで、おいしく大豆イソフラボンがとれる健康茶飲料で、直近5年で飲料の売上げは2.7倍に拡大した。
紅茶飲料については、昨年8月に立ち上げた“お茶”のおいしさを届けるブランド「TULLY’S &TEA」を強化していく。
「前期から少しずつ試験的に出し始めているが、無糖紅茶や無糖ラテ、レモンティーなどを含めてやり直していく」。
「タリーズコーヒー」ブランドは無糖飲料領域を強化。5月には無糖のブラックコーヒー炭酸「TULLY’S COFFEE BLACK&SODA GASSATA(ガッサータ)」(370mlボトル缶)を新発売してアルコール代替ニーズの開拓に着手。「秋にもしっかり(新商品を)用意している」という。