ニッスイは、業務用冷凍食品で自社の強みを生かした水産フライ(白身魚・カキ・アジなど)を主力に展開する。また、品質に優位性があるシューマイや枝豆も存在感があり、直近ではグリルチキンの強化を推進。業務用食品部業務用食品課の谷部敬一課長は「水産フライは素材の鮮度管理から徹底し、衣は外食・総菜など各業態の提供シーンにあわせて経時変化しにくい仕様などを開発。ユーザーからも品質にご評価いただけている」とこだわりを話す。
外食向けに本格派「いか下足唐揚げ」
水産品は同社が最も得意とするところだ。「鮮魚の取り扱いで培ってきた品質管理や加工技術は、当社の強みとして根づいている。それらの知見は水産フライにも生かされており、われわれが業界№1だと自負している」(谷部課長)という。
23年春の新商品「鮮度にこだわり!薄衣のするめいか下足唐揚げ」が好評だ。これまで「いかフライ」は総菜向けを中心に展開してきたが、新商品は鮮度へのこだわりと薄衣でコリコリした本格的な食感を実現、満を持して外食向けに投入した。
既存品では、18年発売の「ジャンボたらカツ」が年々売上を伸ばしている。水揚げ直後に船上凍結したスケソウダラを原料とし、サクッとした香ばしい衣と白身魚のおいしさをたっぷり味わえる。メーンは外食業態だが、最近はスーパーの水産品売場でも取り扱いが増えてきた。
一方、量販店などの総菜売場向けに「大粒シューマイ」シリーズがヒットしている。「本格中華 大粒肉シューマイ」を皮切りに、22年春に「特大肉シューマイ」、同秋に「本格中華 大粒海鮮シューマイ」を追加した。中の具が盛り上がっているように包み、見た目と食べ応えにこだわったという。
谷部課長は「当社がちくわや風味かまぼこなど練り製品で培ってきた技術も生かし、肉粒感やジューシー感も実現した」とアピールする。
「グリルチキン」に注力
直近では、今春に新発売した「備長炭火焼 鶏ももステーキ」の提案に注力。食欲をそそる本格的な炭火風味と焼き目に仕上げ、皮剥がれや変形の抑制にも留意した。価格が高騰した油を使用せず調理できることも好評を得ており、外食・総菜など幅広い業態での需要を見込む。「鶏肉加工品は『竜田揚げ』や『チキンカツ』などの大判揚物を主力に展開してきたが、今後は焼物・唐揚げのラインアップも強化していく」(同)。
コロナ5類移行で居酒屋などの需要回復が見込まれるなか、定番商品「塩あじえだ豆」の拡販も重視する。ネーミングの通り、豆の中まで塩味がしみていることが人気の秘訣。流水解凍(水温〈約20℃〉約2~3分)できることも強みで、「現場でオーダーが入ってからでもすぐに用意ができる」(同)。
一方、米飯類で既存の「白飯」が販売好調だ。素材に近いシンプルな商品設計だが、人手不足を背景にアミューズメント施設などでの引き合いが増えているという。今春は「シェフズダイナー チキンライス」を新発売。独自の「香りUP製法」に加え、洋食店の調理法を再現したこだわり製法でおいしさを追求した。