東京都墨田区は2024年4月から、墨田区が回収した使用済みペットボトル(PET)全量を持続可能なリサイクル手法とされるボトルtoボトルでリサイクルする。
6月9日、アサヒ飲料とペットリファインテクノロジーとの3者で「ペットボトルの水平リサイクルの実施に関する協定書」を締結した。
墨田区は21年、「SDGs未来都市」に選定されたことに伴い「すみだゼロカーボンシティ2050宣言」を表明。協定締結により、同宣言で掲げる廃プラスチックの分別収集・再資源化の取り組みに弾みをつける。
自治体が回収したPETは、日本容器包装リサイクル協会(容リ協)を通じて入札に回され、使用済みPETを繊維や食品トレイにして一度だけ再利用するカスケードリサイクルかボトルtoボトルリサイクルされるのが一般的な流れとなっている。
墨田区は、24年4月から容リ協を通さず、入札後の動きを見える化。回収した全てのPETを、ペットリファインテクノロジーの工場でケミカルリサイクルしてPET原料に再生し、アサヒ飲料のPET商品へと再利用する。
“回収したPETは全てPETに生まれ変わる”と言い切ることで、区民のリサイクル意識を促していく。再利用量は1年間で約1200トンを見込む。
協定締結後、会見した山本亨墨田区長は「廃プラスチックの分別収集・再資源化にあたり今年10月から6地区でモデル実施を行い収集体制の構築と普及啓発活動を行う。協定締結を機にしっかり発信し国にも共有していきたい。やはり全量をボトルtoボトルに回すことが大きい。ワンルームマンションにお住まいの方も含めてご協力いただけるように、協定締結が強いメッセージになっていくよう努めていきたい」と意欲をのぞかせる。
ボトルtoボトルの現状について、アサヒ飲料の米女太一社長は「業界全体に認識が広がっていると思っている。新たな原料を使わずにCO2排出量も極力削減できることを考えると、ボトルtoボトルの考え方は真の持続可能な社会を実現するのに有効。協力できることは業界を挙げて協力すべきだと考えている」と語る。
墨田区は6月9日、アサヒグループジャパンとも「墨田区とアサヒグループジャパンとの持続可能な地域づくりを共創するための連携協定」を締結。
アサヒグループジャパンの濵田賢司社長兼CEOは「これまで取り組んできたご縁を大切に、これからも引き続きアサヒグループ全体で地域コミュニティのさらなる発展に向けて協力させていただきたい。まずはボトルtoボトルの取り組みを開始する」と述べる。