大塚製薬が1988年に発売を開始した食物繊維飲料「ファイブミニ」が脚光を浴びている。
1970年代から、食物繊維が健康上の重要な機能として注目されはじめる一方、これまで食物繊維を使った製品はあったが、「ファイブミニ」は食物繊維飲料という新しいカテゴリーを確立させたことで注目を集め大ヒットとなった。
取材に応じた勝山裕美ニュートラシューティカルズ事業部製品部ファイブミニプロダクトマーケティングマネージャーは「野菜や果物などからしか摂れないと思われていた食物繊維が飲料で手軽に摂取できるという点で非常に驚かれた方が多かったと捉えている。発売当時、センセーショナルを巻き起こし発売初年度には非常に大きな売上げを上げた」と語る。
1986年、“美味しく手軽な食物繊維補給飲料”というコンセプトもと、当時としては珍しく女性研究者3人の手によって佐賀栄養製品研究所(佐賀県)で開発がスタートした。
「『ファイブミニ』は同研究所で開発された最初の飲料。昔、日本人の食が和食中心だった頃は今よりも食物繊維は摂取できていたが、食がだんだんと欧米化するにつれ食物繊維が不足しがちになっていった。女性も手に取りやすいようにスマートで、飲み切りサイズの小瓶を採用した」。
ネーミングにもこだわった。
「食物繊維を起点にした。ファイバーをキーワードとし、小さな瓶で手軽に摂れるという愛称のミニを組み合わせて『ファミブミニ』とした」。
発売時は、1日あたりの食物繊維の摂取目標と摂取量の差を1本で補えるように5gに設定。液色は透き通ったオレンジだった。
1996年には食物繊維を6gに増量するとともに、おなかの調子を整える食物繊維飲料としていち早く特定保健用食品(トクホ)を取得。
2017年には「ファイブミニ」の中身を大きく刷新。リコピン(トマト色素)を使用して液色をオレンジからピンクにした。このピンクがのちに“かわいい”“おしゃれ”とSNSで話題となり、若年層に食物繊維飲料として「ファイブミニ」を飲用してもらえる機会につながった。
このようにして「ファイブミニ」はブランドを磨きながら成長期から成熟期に突入し販売は安定して推移していった。
その後、コロナ禍における健康意識の高まりで再び脚光を浴びる。
昨年も2021年を上回る販売実績を記録した。
「普段の食事を見直すようになるなど健康への関心と意識が非常に高くなったことが追い風になった」とみている。
加えて微炭酸の設計が飲用シーンの拡大にもつながっている。
「『ファイブミニ』は健康意識が高い層にも買われているが、リフレッシュ要素で買われている方も多いとみている。中には焼肉など脂っこいものを食べたあとに“口の中をさっぱりさせたい”といった理由で飲んでいる方もいる」という。
女性から男性、子どもなど飲用の幅も広がっている。
「30、40代にもトライアルしていただき、一部では親子で飲まれるケースも出てきている」。
販売チャネル別では、コンビニチャネルではもちろんのこと、ECでのケース販売とスーパー・量販店での6本パック販売が特に好調となっている。
この勢いを加速させるべく、今後はSNSを活用したコミュニケーションを強化していく。
「食物繊維の市場は、世界的にも非常に伸び盛りになっている。日本でも注目され、様々な形態で摂取される中で、『ファイブミニ』は科学的根拠とデータに基づき開発された、リフレッシュの要素も兼ね備え、美味しく、おしゃれに食物繊維を手軽に摂れて継続しやすいといった点で唯一無二だと思っている。そのような製品特徴を活かしながら時代の変化に合わせた情報の提供と、新たな取り組みを展開し、皆様の健康の維持・増進に貢献していきたい」と意欲をのぞかせる。