青梅が5月終盤から市場に出回り始め、2023年氷糖商戦が本格的にスタートした。今年は和歌山・群馬など梅の主要産地で降雨量に恵まれ、梅酒・梅シロップ漬けに適した大玉の青梅が一斉に店頭に並ぶ見通しだ。量販店の催事コーナーの展開時期ともピタリと一致。今年の氷糖商戦は、盛り上がりに欠けた昨年から一転し2年ぶりの活況が期待されている。氷糖メーカー各社は、一昨年に記録した氷糖出荷1万5千tの大台回復に向け手応えを感じ始めている。
氷糖商戦は例年、西日本・東日本では6月、東北では7月まで続く。家庭向け氷糖需要のほとんどが5月終盤から6月中旬までの時期に集中する超短期決戦だ。昨年は5月の降雨量が少なかったことで梅の実太りが遅く、大玉の青梅出荷が後ろ倒しとなったほか、群馬では雹(ひょう)被害が発生。東日本中心に氷糖出荷に急ブレーキがかかり「西高東低」の様相を呈した。2022年度の氷糖出荷実績は1万4千752tとなり、2年連続プラスとはならなかった。
今年の梅は和歌山産・群馬産とも平年より実太りが早い。出荷は両産地ともほぼ同時期で、価格は1キロ900円後半から1千円程度と値ごろ感がある。5月終盤から市場に出回り始め、6月6日「梅の日」前後にはピークを迎える見通しだ。一部では「梅干し加工用の在庫が潤沢で、青梅としての出荷に回る」との見方もあり、青梅の質・量とも今年の氷糖商戦を盛り上げる条件は揃っている。氷糖メーカー担当者も「今年はいける」と自信を深めている。
一方、ここ数年の氷糖需要は青梅の出来だけでなく、コロナ禍の巣ごもり需要に支えられた面も大きい。顧客の裾野が広がり“おうち時間”を漬け仕事で楽しむニーズが定着した。業界では、全日本氷糖工業組合を軸としたSNS発信・キャンペーンなどを通じてフルーツビネガーなど“梅に頼らない”需要の掘り起こしにも継続的に取り組んでいる。
ポストコロナで、こうした巣ごもり需要のリピートがどこまで続くか。今年の商戦の行方を左右するカギになりそうだ。