銀座のビル屋上で田植え 酒米・白鶴錦、純米大吟醸に 白鶴酒造

白鶴酒造は5月24日、東京・銀座に構える自社ビル屋上の田んぼ「白鶴銀座天空農園」で酒米「白鶴錦」の田植えを行った。当日は晴天に恵まれ、社員や取引先など約30人が参加。秋に収穫し、来年に「純米大吟醸」として商品化する予定。

銀座から日本酒文化を情報発信したいとの想いから、2007年にプロジェクトがスタート。翌08年には東京支社の屋上に田んぼを造成し、13年からは同園で収穫した「白鶴錦」のみで仕込んだ商品を数量限定で発売してきた。その間、近隣の小学生に向けた食育や留学生への情報発信も実施した。

地上約30mの屋上に、作付面積110㎡の田んぼが広がる。収穫量は約50㎏(籾付き)を見込む。一般的な稲作では約60cmの土の深さが必要とされるが、屋上では最大でも約15cmまでしか土が敷けない。そのため栄養をいきわたらせる工夫や繊細な水の管理が求められるという。

今年は稲の成長を助ける日照時間を確保するため、時期を例年より約3週間早めた。今後は東京支社営業サポートグループの8人を中心に、日々の業務と並行して米作りを行う。田植えにはゲストで「2023 MissSAKE Japan」ファイナリストの齋藤ひかりさん(千葉)、高橋凛さん(秋田)も参加。「貴重な経験。おいしい日本酒になるように心を込めて植えたい」などと話した。

「白鶴錦」は同社のオリジナル酒米。開発開始から8年を経て03年に誕生し、07年に農林水産省にて品種登録された。「山田錦の兄弟米」という位置づけで、酒質は「山田錦」に比べるとすっきりとした味わいになりやすいという。