縮小するブレンド茶飲料市場へ、ブレンド茶のロングセラーブランド「爽健美茶」が全国発売30年目の今年、大刷新して活性化に挑む。
5月29日に、中味とパッケージに磨きをかけた新「爽健美茶」を発売するとともに、ターゲットの見直しとブランド価値の再定義を行い、新コミュニケーション施策を展開する。
ブランドが抱える課題について、取材に応じた日本コカ・コーラの森夏樹マーケティング本部止渇系無糖茶・機能性茶・紅茶事業部シニアブランドマネジャーは「健康志向の高まりで無糖茶市場は競争が激化している中で、『爽健美茶』はブランドのイメージが少し希薄化し非助成認知率(選択肢ではなく記憶のみでブランドが想起される割合)が年々下がっている」と説明する。
特に若年層の非助成認知率が40代以上と比べると低いことから、ブランド価値を再定義して若年層の取り込みを強化していく。
これまで「爽健美茶」では、内面の美しさなどを求める40代をメインとした女性層に“植物素材の恵み”という物性価値を訴求。
リニューアル後は、無糖茶を買い回る層とされる20代男女を中心としたZ世代に向けて、従来の物性価値に加えて、心まで爽やかに軽やかにしてくれる情緒価値も訴求していく。
この考えのもと商品を大刷新した。
パッケージは「爽健美茶」史上初の縦書きのブランドロゴをあしらい、グラフィックがボトル上部へと柔らかく抜けていく爽やかなデザインでハトムギや大麦・ヨモギなどの素材を表現。
「真っすぐで素直な本来の自分らしい心と体を取り戻してくれるお茶であることを現し、改めて13種類の植物素材が入っていることも強調している」という。
縦書きのブランドロゴでは「すっきりと爽やかなイメージを打ち出した」。
中味は、ハトムギなど13種類のやさしい恵みが詰まったすっきり香ばしい味わいとカフェインゼロの特長はそのままに、新たにハトムギ中5%に国産ハトムギをブレンドした。
具体的には「いろいろある毎日の中に『爽健美茶』が寄り添い、少し前向きに気持ちを切り替えてくれて、心と体と解きほぐして軽やかにしてくれる『爽健美茶』ならではの情緒価値を伝えていく」。
コミュニケーションはZ世代にフォーカスして展開していく。
“爽やかに、健やかに、美しく。私を、前へ。”を新コンセプトに掲げ「若年層の興味・関心が高い音楽・ドラマを軸にしたコミュニケーションを展開していく」。
具体策としては、出口夏希さんと青山凌大さんが出演する新TVCM「爽健美茶 私を、前へ。」をリニューアル発売日から放映開始するとともにTVCMと連動した「爽健美茶」のドラマ「君が好き.mp4」もABEMAで放送開始する。
CMではターゲットの高い関心事とされる恋愛をテーマに定めて「『爽健美茶』が自分向けであるとZ世代に振り向いてもらう」。
CMのストーリーは「途中で終わってしまうような後を引く感じを出し、ドラマへの誘導を図っていく」内容に仕立てられている。
CMソングは、YOASOBIのヴォーカルikuraとしても活躍する幾田りらさん作詞作曲の「吉祥寺」を採用した。
「“爽やかに、健やかに、美しく。私を、前へ。”を新コンセプトと歌詞がしっかり連動しており『吉祥寺』の曲もフルで活用していきたい。23年の『爽健美茶』の新たな試みとしては、CMとドラマを連動させて仕掛けいくことで、日々揺れ動くターゲットの等身大のリアルな気持ちを切り取り、そこに寄り添う『爽健美茶』を描いていく」との考えを明らかにする。
店頭やECでは「やかんの麦茶」と連動したキャンペーンを展開する。
ブランド価値の再定義と様々な施策によって「『爽健美茶』を日常的に選ばれる無糖茶へと強化していく」と意欲をのぞかせる。
「爽健美茶」は1993年、「茶流彩彩」ブランドから立ち上がり九州地区のみでテスト販売。1994年に「茶流彩彩 爽健美茶」として全国に販路を拡大した。
なお、ブレンド茶飲料市場は近年、ダウントレンドにあり、全国清涼飲料連合会の「2022年清涼飲料水生産数量及び生産者販売金額」によると、ブレンド茶飲料は生産量が前年比8%減の56万100kl、生産者販売金額が0.4%減の874億9800万円。