人口減少でありながらミネラルウォーター市場が拡大を続けている理由 「サントリー天然水」担当者が語る

 ミネラルウォーター市場が、人口減少にもかかわらず、1人当たりの飲用量の増加によって拡大の一途を辿っている。

 日本ミネラルウォーター協会によると日本でのミネラルウォーター(天然水)の1人当りの年間消費量は右肩上がりで2005年の14.4Lから22年に37.7Lに拡大。

 一方、日本の総人口は、2008年の1億2808万人をピークに減少に転じている。総務省統計局によると総人口は2022年11月1日の確定値で、前年比53万1000人減の1億2491万3000人。

 1人当たりの飲用量が増加してミネラルウォーター市場が拡大している理由について、国内トップブランドの「サントリー天然水」を担当する平岡雅文SBFジャパンブランド開発事業部課長は「全て仮説」と前置きした上で食の欧米化を一因に挙げる。

 「日本人はお米から摂っている水分が結構多い。“日本人は食事・飲み物半々の割合で水分摂取している”とのデータもある。お米の消費量が減りパン食が増えてきたことで、飲みものによる水分摂取が増えてきているのだと思う」と語る。

 そのほかの要因としては、健康志向の高まりで糖分摂取を控えようとする“避糖化”のトレンドやペットボトル(PET)の登場を挙げる。

 PETでミネラルウォーターを便利に持ち運びできるようになり“もともと水を欲していた”という潜在ニーズを掘り起こしたとみている。

 「小型のPETで持ち運べるようになったことが掛け算となって市場が拡大しているのだと思う。今では、女子高生が2LPETをリュックなどに入れて持ち運びして教室の机に置いている動きもみられる。授業中、時間をかけて水分摂取する際に、ミネラルウォーターはもともと無味のため温度や経時変化の影響を受けにくいのも支持されているポイント」との見方を示す。