有明海苔の首の皮

22年海苔漁期がほぼ終了しようとしている。生産枚数は48億枚強で前年の25%減、100億枚が普通に採れていた20年前の半分になってしまった。原因は、全国生産の半分を占める佐賀有明と福岡有明の大不作、前年の30億枚から15億枚と半減した。

▼19~21年漁期の3年間、実は毎年のように低栄養塩化や高水温化などの海況変化がみられ、今年は大変なことになるのではないかという不安が有明海では続いていた。「首の皮一枚残して、何とか平年作が維持できていた」という。

▼その一枚が残らなかった。佐賀は前年の2割減、福岡は3割減で漁期を終えた。2つの産地は量で国産海苔を支えているだけでなく、贈答用などで求められる品質の海苔は有明海でしか採れない。韓国産などで量は補えても、質は代替が効かない。

▼農作物なら土壌や品種改良という方法もあるが、広大な有明海で人が施せる手段は限られている。品種改良は韓国が結果を出しているが、日本では聞いたことがない。来期は海況がよくなるという保証はなく再び首の皮が残せなかったら大変な事態になる。