11.1 C
Tokyo
11.7 C
Osaka
2025 / 12 / 05 金曜日
ログイン
English
トップニュース強いニッポンハムを取り戻す V字回復と新段階への道筋両輪で 井川伸久社長
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

強いニッポンハムを取り戻す V字回復と新段階への道筋両輪で 井川伸久社長

日本ハムの23年度が新体制で始動した。グループ2万8千人のトップに4月1日付で就いた井川伸久新社長は「非常に危機感をもってスタートした」とまずは述べた。原材料やエネルギーなどのコスト高騰が続き、業績は「想定以上の落ち込み。今までのビジネスモデルでは立ち行かないとはっきりした」と振り返った。「強みを伸ばす」「次世代商品開発」「サステナビリティ」などで様々な改革を断行し、「新しいステージに向けて、強いニッポンハムグループを取り戻すことが私の使命」と決意を述べた。

方針の基本はグループビジョン2030「たんぱく質をもっと自由に。」で、「30年までは不変」とする。ただ、掲げた21年当時とは大きく環境が変わり、今期は中計2023の最終年度。中計2026は「今年1年かけて修正」しながらさまざまな改革に着手する。

当面の課題に「業績のV字回復」を挙げ、「(今までの仕組みではない)次のステージへの道筋を作る」の「両輪で推進」していく。

まずは「強みを伸ばす」を全社員で共有した。加工では「シャウエッセン」「中華名菜」「石窯工房」など。食肉では国産鶏肉「桜姫」や国産豚肉「麦小町」などがある。特に食肉は自社ブランド販売を強化し、消費者の「認知度向上」に努める。

一方で、「次世代の(ブランド・商品の)核を作るのが今年の大きなテーマ」。加工事業では、営業と製造の中間に位置する「マーケティング統括部」を今期から新設した。「今までは営業側に販促、製造側に商品開発があり、役割分担していた」が、これを同統括部を中心に商品戦略を徹底していく。

また、主力商品群の一つ「ハム・ソーセージ」は、市場規模は大きいが伸びが鈍化しているウインナーやロースハムではない「別カテゴリーを作るよう指示している」とした。その形の一つとして今春、米国の朝食の定番「リンクス」をイメージした商品「モーニングサーブ」を、朝食のマンネリ感を打破する新定番として復刻発売し、好スタートを切っている。

グループ戦略では、「グループ戦略推進事業部」を新設した。取り組んできた営業・物流改革プロジェクトをDXを含めて具現化していく。DXについては「コスト削減が目的ではなく、DXで新しい事業をどう創出していくか」を基本に取り組む。グループの適材適所を強化し、物流改革では食肉と加工品それぞれで配送しているトラックの集約などに取り組んでいく。

また、北海道日本ハムファイターズの新球場を含む「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE」が3月に始動した。施設内飲食では「シャウエッセンホットドッグ」などが大人気で、同商品の市販化も検討していく。

井川社長は現在の厳しい経営環境に際し、大社義規創業者が残している言葉「逆境こそ、わが道なり」を紹介し「創業者もいろんな荒波を乗り越えて今の1兆2千億円規模の企業にされた。原点に戻り、私もこの言葉を使わせていただきたい」と話し、現在の荒波の先を見据えた。

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点