欧米で進む「うま味で減塩」 海外の成功事例など紹介 味の素がZ世代向けにプロジェクト

味の素は、うま味をきかせた減塩に関する活動の一環として昨年7月25日(うま味調味料の日)より、Z世代に向けてうま味調味料「味の素」を活用した「うま味でおいしい減塩」を推進するプロジェクト「LOW SALT CLUB~うま味DE減塩部」を立ち上げ、様々な活動を行ってきた。クラブは、学生料理家を含む「うま味でおいしい減塩」に賛同する現役の料理家たちで構成されており、レシピ提案や情報発信など多岐にわたって実施。その内容はSNSで拡散され、うま味によるおいしい減塩を訴求してきた。

同クラブは16日、今年度最後となる第4回レクチャーを開催した。今回はグローバルコーポレート本部グローバルコミュニケーション部サイエンスグループの門田浩子氏の司会で進められた。

第1部では、同部のエグゼクティブ・スペシャリストの畝山寿之氏(医学博士)が、「うま味による“おいしい減塩”の社会実装に向けて」をテーマに、うま味の有用性や公衆衛生上の価値を科学的に検証した「U20 Healthy Umami Research Project」をオンラインで解説した。第2部では同部の武内茂之シニアマネージャーが、「米国におけるMSG*コミュニケーション“US Umami2019-2022”」の概要を報告した。

「U20 Healthy Umami Research Project」は、G20加盟国における、うま味(U)による減塩効果を検証するプロジェクトで、レクチャーの中で畝山氏は、世界の8か国の減塩製品をスープで検証すると、フランスは22%と最も高く、以下、アメリカ12%、ブラジル8%の順となり、日本は6%で、「日本を含むアジアの減塩意識は低い」と説明。また、減塩政策が成功した例として、イギリスの「パンによるこっそり減塩」を挙げ、10年かけて消費者に気づかれないよう、ゆっくり、こっそりと減塩を進めた結果、減塩に成功した。しかし、「その後、味が損なわれるためと塩分使用を増やし、リバウンドが起きた。ヴィーガン中心のレストランでも塩分の高いメニューが多い実態が判明。おいしさを保つために植物性中心の食事の方が塩分が高いことが各方面で指摘されおり、塩分を控えながらおいしさをどう保つかが焦点となっている」など指摘した。

試食会で減塩メニューを楽しむクラブ会員 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
試食会で減塩メニューを楽しむクラブ会員

武内氏は「うま味プロジェクト、米国におけるMSGネガ払拭活動」を解説。活動はMSGに対するネガティブイメージがコーポレートブランド(味の素)を毀損してしまう恐れがあるため、ネガティブイメージを払拭してリスクを低減しようと2018年より米国から活動を開始。2030年度までの世代交代も意識し、MSGに対する先入観が少ないZ世代、ミレニアル世代を中心とした態度変容しやすい層と、直接的なコミュニケーション活動を行ってきた。管理栄養士やシェフ、インフルエンサー、食に関与する消費者を特定して施策を実施。その結果、コストコの留型マヨネーズや外食店の餃子、チキンサンドイッチ、バニラアイスクリーム、ラーメンなどにMSGが使用された。

この中で武内氏は「加工食品は前処理や加熱するとうま味やコクが落ちるが、それを補填する意味でもMSGが使われている。これらはテレビ番組で放映されインパクトが高かった。米国ではピザやサンドイッチに食塩が多く使われており、減塩パンの研究も行われ、うま味を使ったパンはおいしいと評価されている」など説明した。

セミナー後、クラブ会員は味の素の社食で減塩メニューの昼食を楽しんだ。

*MSG=グルタミン酸ナトリウム

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