100年以上にわたるビール造りで培った醸造技術を生かして完成した、キリンビールの新RTD、その名も「麒麟百年 極み檸檬サワー」。ニーズ多様化が進む缶チューハイ市場で、高付加価値領域の拡大を目指す。
同社の推計によれば、RTD市場は昨年までの10年間で約2倍に成長。ビール類の酒税率改正が進む26年にかけてもRTDは税率が変わらず、ビール類からのユーザー流入や併買の増加を背景に今後も緩やかに成長が続くとみる。
「市場成長に伴い、ニーズも多様化。本格感や満足感を求める傾向が高まっており、お酒らしい嗜好性を求めるお客様が増えている。高単価RTD市場にも新しい機会が出てくるだろう」(RTDカテゴリー戦略担当 松村孝弘氏)。
新商品は同社RTDとしては初めて、ビール酵母で発酵させたレモン果汁を一部使用。鮮烈な香りとうまみ、なめらかな口当たりのレモンサワーに仕上げた。
ビールの泡立ちにヒントを得たきめ細かい泡も特徴。「通常のチューハイに比べて8分の1程度の大きさの泡で、香りと口当たりの良さを実現した」(中身開発グループ主査・永井次郎氏)といい、新技術として特許出願中だ。
同じく発酵技術を生かした「麒麟 発酵レモンサワー」も展開するが、こちらはワイン酵母で発酵。酸味料や香料などを使わないナチュラル感がコンセプトのブランドだ。酒としての満足感の高さを追求した今回の「麒麟百年」とは棲み分けを図る考え。
レモン系フレーバーで飽和状態のRTD市場に、また一つレモンサワーが加わった。
「市場で5割近くを占めるフレーバーがレモン。新たにエントリーするお客様を捉えるためには、やはり間口が一番広いレモンが手に取りやすく最適と考えた」(松村氏)と説明する。
「麒麟百年 極み檸檬サワー」は4月4日発売。参考小売価格は350㎖缶179円、500㎖缶245円(税込)と、主力の「氷結」ブランドなどよりも30円程度高い設定だ。
今年の販売数は約300万ケース、RTD全体で7千400万ケース(前年比2.1%増)の計画。現在のRTD市場で約11%程度の高単価商品の構成比を、26年までに20%に拡大することを目指す。