「午後の紅茶」初となる無糖のミルクティーはなぜ開発に8年の歳月を要したのか? 2021年4月以降も100サンプル以上試作

 キリンビバレッジが7日に新発売した「午後の紅茶」初となる無糖のミルクティー「午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー」は開発に約8年の歳月を要したという。

 その理由について、3日取材に応じたキリンビバレッジの田代美帆マーケティング部ブランド担当主務ブランドマネージャーは、ミルクに乳糖が含まれている点を挙げる。

 「無糖ミルクティーと謳える商品をつくろうとすると、糖類の少ない乳原料を探す必要があるが、ただそれだけだと、今度はミルクティーらしい飲みごたえみたいなものが失われてしまう」と語る。

 紅茶市場の中でミルクティーは最も間口(飲用層)が広く、カフェ・喫茶店では砂糖などを入れずにミルクティーが飲まれる動きもあることから、キリンビバレッジは紅茶の新たな選択肢として約8年前に開発をスタートさせた。

キリンビバレッジの田代美帆マーケティング部ブランド担当主務ブランドマネージャー - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
キリンビバレッジの田代美帆マーケティング部ブランド担当主務ブランドマネージャー

 「茶葉の組み合わせと、無糖と呼べるスペックの乳原料を追求しミルクティーらしい飲み応えをキープする。その掛け合わせが非常に難しかったと(前任からは)聞いている。紅茶市場を拡大していきたい思いもあるが、やはりそれ以上に、お客様においしさを提供して紅茶を好きになっていただくのが我々の使命であるので、ギリギリまでおいしさを追求した」と振り返る。

 比較的最近の2021年4月以降も100サンプル以上の試作を繰り返して完成したのが、ダージリン茶葉とウバ茶葉をそれぞれ10%使用し、爽やかな香りの紅茶とエスプレッソ抽出した紅茶をブレンドした無糖紅茶に適量のミルクを加えた「午後の紅茶 おいしい無糖ミルクティー」となる。

 「紅茶本来のおいしさを伝えていくための非常に大事なアイテムだと考えている。無糖紅茶ならではのミルクティーの本当のおいしさを年間通じてお伝えしていく」考えだ。

 同商品には、ミルクティーユーザーの買い回りも見込むが、無糖紅茶の新たな選択肢としての役割に期待を寄せる。
 「2022年は、紅茶飲料市場が102%で着地したのに対し、この中で無糖紅茶飲料のサブカテゴリーだけでみると127%で着地し今後も拡大が見込めることから、無糖茶の選択肢を広げていきたい」と述べる。

「午後の紅茶 おいしい無糖」シリーズ3品 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「午後の紅茶 おいしい無糖」シリーズ3品

 「午後の紅茶 おいしい無糖」シリーズの既存ラインアップは「おいしい無糖」本体と「おいしい無糖 香るレモン」2品で、22年はシリーズ計で11年連続伸長し過去最高の販売数量を更新した。

 「おいしい無糖」本体も食中シーンを中心に幅広い飲用シーンを獲得して成長。それとカニバリを起こすことなく「おいしい無糖 香るレモン」は午前中の仕事中などのリフレッシュニーズを取り込んでいったという。

 3品目となる「おいしい無糖 ミルクティー」については「仕事中にもおすすめ。すっきりゴクゴク飲める無糖ミルクティーはこれまでになく我々が先陣を切ったため、我々が想定していないシーンでも結構幅広く飲んでいただける可能性がある」とみている。