ケイエス冷凍食品 19年水準に業績回復 生産効率の改善進む

ケイエス冷凍食品は、このほど業績報告会を東京本社で開き、池内良彰社長は「2022年12月期は増収増益。コロナ禍で20~21年は大きなダメージを受けたが、売上・利益とも19年水準に戻ってきた」と述べ、「23年度は『鶏つくね串』30周年をフックに家庭用商品の配荷拡大などに取り組みたい」と話した。

収益が復調した要因は

①業務用の回復
②価格改定
③生産効率の上昇

――の3点。大幅なコスト上昇を背景に2度の価格改定(22年春・秋)を実施した中、業務用は注力するデリカおよび学給ルートの開拓が進み、行動規制の緩和でお盆・年末年始のオードブル需要やホテルルートの回復が目立った。大手外食チェーンに肉団子が採用されたことも寄与した。一方の家庭用は食卓向けが苦戦しマイナスだった。ただし主力品「鶏つくね串」は数量・金額とも前年クリア。値上げの影響を感じさせず定番品ならではの底力を見せている。なお業態別の売上構成比は家庭用52%、業務用48%。

また生産基盤の強化を推進。親会社のテーブルマークから工場長の経験者を招聘し、製造現場のロス率や歩留まりが大きく改善したという。「他社からしかるべきポジションの実務経験者を招いたのは初めて。新たな視点や知見を取り入れ非常に有効だった」(池内社長)。

23年度は家庭用は「鶏つくね串」30周年キャンペーンを切り口にした配荷拡大を推進。古賀正美常務執行役員は「当社としては高い定番率の商品だが、今後も未導入企業への採用を促進する」とコメント。業務用は引き続きデリカ・学給ルートの攻略を図るとともに、インバウンドで活性化が見込まれるホテル向けにはたれ付き肉だんごを拡販する。なお想定を上回るコスト上昇が続いているため、2月から家庭用製品、3月から業務用製品を価格改定する。

一方、家庭用における食卓品の強化について、篠原史訓取締役常務執行役員は「既存品のブラッシュアップに加え、自社工場(泉佐野工場)を生かした小型ミンチ加工品の可能性を広げる商品展開を強化したい。従来にない洋風メニューや委託工場と連携したプレート商品なども検討材料」と話した。