世界初のレトルト技術で55年前に生まれた大塚食品の「ボンカレー」。
レトルト食品は、気密性があり光や空気を通さないパウチに詰めた食品を加圧加熱殺菌したもののため、保存中に微生物が増えることがなく常温で長期保存でき、保存料を必要としないのだが、取材に応じた中島千旭製品部食品担当レトルト担当PMは「いまだに多くの方が“レトルト食品は保存料が入っている”と誤解されている」と語る。
今回、ボンカレーの進化・ボンカレーのこだわり、「レトルト食品ゆえに保存料を使っていない」というレトルト食品についての正しい情報を伝えるため、発売55周年を機にブランドサイトにレトルト食品のコーナーを新たに設けた。
1964年、関西でカレー粉や即席固形カレーを製造販売していた会社を、大塚グループが引き継いだのが大塚食品の始まりとなる。
当時、カレーといえば洋食の代表でカレー粉や缶詰での販売が主流で、メーカー間の競争が激しかったことから、大塚食品は差別化商品を探索。
そうした中、目に留まったのが、米国のパッケージ専門誌「モダン・パッケージ」に掲載された「US Army Natick Lab」の記事。
「缶詰に代わる軍用の携帯食としてソーセージを真空パックにしたものが紹介されていて“この技術をカレーと組み合わせたら、お湯で温めるだけで食べられるカレーができるかもしれない”と考えたと伝えられている」と語る。
開発にあたっては、常温で長期保存が可能であることと保存料を使わないことが絶対条件だったという。
「保存料を使わないことは今では当たり前のように言われている安全・安心へのこだわりが、大塚食品では開発時からずっと続いている。開発当時はパウチにする包材もなければ、レトルト釜もなかったが、幸い大塚グループで持っていた点滴液の滅菌技術応用して、レトルト釜を自分たちで作り上げた」と説明する。
カレーを入れたパウチをレトルト釜に入れて殺菌のための高温処理をすると、中身が膨らみ破裂してしまうため、圧力をかけるべく、パウチの耐熱性・強度・中身の耐熱性・殺菌条件などのテストを繰り返し行い、1968年2月12日、世界初の市販用レトルトカレーとして「ボンカレー」が誕生した。