12 C
Tokyo
13.7 C
Osaka
2026 / 02 / 14 土曜日
ログイン
English
産学官連携〈食の産学官連携③〉地域マイクロニーズ発掘 イノベーション創出へ地域一体 鹿児島大学「オープン実証ラボ」

〈食の産学官連携③〉地域マイクロニーズ発掘 イノベーション創出へ地域一体 鹿児島大学「オープン実証ラボ」

鹿児島県は県本土に加え200有余の島々を有し、南北の距離は約600㎞に広がる。豚・肉用牛など畜産を主力とする農業産出額は全国第2位の4千772億円(令和2年実績・鹿児島県農政部)。鹿児島湾や薩摩半島沖、南西諸島域は最深200m以上の水深を有し、東の駿河湾と並ぶ深海魚の漁場である。鹿児島大学は、鹿児島経済を支える農業・水産業の活性化に向け地域一体となった課題解決の中核的な役割を担う。

ヒメアマエビ、キホウボウ、アイアナゴ…。いずれも鹿児島の水深200m以上の海で獲れる深海魚だが、水揚げされず海上投棄される魚種も多い。

低・未利用種を活用した高付加価値の食材開発により漁業・飲食業を活性化できないか。鹿児島大学は2020年、水産仲卸の田中水産、南さつま市とともに「かごしま深海魚研究会」を発足させ課題解決に着手している。

まずは、相対売買による流通システムを構築。漁獲される種類・量のデータ収集とともに、魚種ごとの特性・食味を分析したうえで食材・メニュー開発を実施した。

水産学部の大富潤教授は「『うんまか深海魚』としてブランド化することで、これまでキロ0円だった深海魚が利益を生み出す。ヒメアマエビを使用したせんべい(薩摩煎餅やまとや)のほか、県内50店舗以上の飲食店・スーパーで『うんまか深海魚』料理や食材を提供している。新たな食文化を創り、漁業者のモチベーション向上や後継者維持につなげたい」と意欲を示す。

鹿児島大学が地域に設置する「オープン実証ラボ(フィールド)」。大学の研究成果を試作品やプロトタイプなどで可視化し、地域一体となって社会実装・事業化を目指す場だ。

ポスターでもPR(『うんまか深海魚』鹿児島大学)
ポスターでもPR(『うんまか深海魚』鹿児島大学)

リュウキュウイノシシ肉の高付加価値化実証は、「徳之島実証フィールド」で展開されたプロジェクトの一つだ。リュウキュウイノシシは徳之島に棲息するイノシシの固有亜種だが、サトウキビなど地域農産物にもたらす被害も深刻だ。農学部の大塚彰教授は「抗疲労成分のバレニン、カルノシンが、豚肉より高濃度に存在することを科学的に証明した。リュウキュウイノシシの価値を高める『ストーリー付け』により消費拡大し、自然生態系の保全と農作物被害防止を両立させたい」と抱負を語る。

「徳之島フィールド」はもともと、人工衛星画像データを用いたサトウキビ生産管理の効率化から実証プロジェクトをスタート。これを起点に、ハーベスタ搭載型リアルタイム位置稼働情報モジュール開発、圃場地形情報収集など、様々な実証プロジェクトに発展していった。

鹿児島大学「南九州・南西諸島域イノベーションセンター」の藤枝繁センター長は、「すでに顕在化した課題を解決するプロセスの中で、地域に眠る新たな潜在的課題『マイクロニーズ』を発掘し、われわれの『知』を広げていく。その成果を、地域拡大を図りながら社会実装につなげたい」と強調した。

関連記事

インタビュー特集

学生が育てるアーモンドの木 明日の社会へ価値循環 デルタインターナショナル×キャンポスブラザーズ

アーモンドの世界的産地である米カリフォルニア州でも、トップクラスの供給量を誇るキャンポスブラザーズ社。日本の販売総代理店を務めるデルタインターナショナルでは、学生の手でアーモンドの木を育てて商品化することを目指す玉川大学の...

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。

繋げる、繋げる、繋げる たこ焼きコミュニケーション足掛かりに TKO・木本武宏さんが次のフェーズへ

STUDIO TAMUROはお笑いコンビ「TKO」木本武宏さんの活動拠点。木下さんの実妹・大岡真裕美さんが代表を務める「オフィスTAMURO」が運営し、トークライブや、YouTube番組作成スタジオとして利用してきた。昨年5月からは新たな活動として、毎月3日だけ営業する「たこ焼き店」がスタートした。

SST=“サミットの仕事が楽しい”へ 新たな競争軸を作る 服部哲也社長

――中期経営計画の進捗はいかがですか。― 服部 「良い×強い=最強」という言葉を掲げた中期経営計画「頂(イタダキ)2025」は、最終年度を1年延長して26年度までとした。