沢庵業界では今春の棚替えのタイミングで価格改定や容量ダウンを実施する有力メーカーがある。コストアップがメーカーの利益に直撃しており、製品価格の適正化によって品質の維持と今後の安定供給を図る。あらゆる物が値上がりする中、沢庵製品の値上げはほぼ最後発であり、売場の理解もそれなりに得られている。
大根を塩押しまたは天日干しして脱水し、糖類や塩などで漬けた沢庵は、歯応えと奥深い旨みで支持され、日頃不足しがちな野菜摂取に長年貢献してきた。高塩分イメージで避けられた時期もあるが、干し沢庵は高めの血圧を下げ、ストレス低減や睡眠の質を向上すると言われるGABAを豊富に含み、最近は健康面でも注目されている。
昨年の販売は、21年に続き巣ごもり需要の反動減があり、量販店向けはやや低調だった。一方で、新型コロナにより大打撃を受けていた業務用外食ルートや観光土産向けはかなりの回復が見られた。業務用の復調により、昨夏は増収増益で着地したメーカーもある。
その沢庵業界では今春の棚替えのタイミングで、製品の価格改定や規格変更(容量ダウン)に動く有力メーカーがある。昨秋の棚替え時に実施したメーカーもあるが、今春は昨秋動かなかった有力メーカーが値上げを実施する予定で、現在売場への案内など準備を進めている。4月頃が値上げ実施のピークになりそうだ。
値上げの背景には急激なコスト増がある。電気代が5割増、液糖が5割近く増、包材は2次値上げまででトータル2割増となり、最低賃金も上昇している。原料農家の要望を受けて、生大根の買い取り価格を上げたメーカーもある。今期はコスト増がさらに重くのしかかり、品質維持と安定供給に向けて製品価格の適正化が避けられない情勢だ。
現在、大手量販店では、塩押し沢庵が248~298円、干し沢庵は348~398円ほどで売られている。今春の値上げにより塩押し沢庵は300円、干し沢庵は400円を超える商品が出てくる。販売への影響が気になるところで、値上げ後のリアクションが注視される。