専門紙8社で組織する即席ラーメン記者会は「2022年即席麺業界重大ニュース」を選定した。22年の即席麺業界は、6月に3年ぶりとなる価格改定を実施し夏場は連日の猛暑が逆風となったが、総需要は高水準をキープした(1~10月累計2.1%増=日本即席食品工業協会調べ)。食品の値上げラッシュが続いた中で、即席麺のおいしさ・コストパフォーマンスの高さ・簡便性・保存性などの強みが支持されたと見られる。ただし、現在も歴史的なエネルギーコストや原材料費の高騰が進行しており、とくに利益面では楽観できない環境が続く。
メーカーの商品施策を見ると、新たな付加価値で健康志向や本格志向に応えようとする動きが加速。カップ麺で従来の常識を超えた300円台後半の製品も相次ぎ登場し、話題となった。
価格改定のタイミングにあわせ、コンビニ大手が店頭売価を希望小売価格ベースに移行したこともインパクトがあった。カップ麺では主要なNB製品とPB・留め型製品の価格差が約100円も開き、後者の売れ行きが上昇した。
また、SDGsの推進をテーマに、自治体と連携した新プロジェクトや流通との合同キャンペーンなど、従来にも増して多彩な取り組みが行われた。2022年即席麺業界重大ニュースは次の通り。
▽即席麺各社、3年ぶり値上げも歴史的コスト高の影響続く
▽22年即席麺総需要、価格改定・猛暑を乗り越え高水準キープ
▽健康・本格志向の高付加価値路線が加速
▽コンビニ大手、店頭売価を希望小売価格ベースに移行
▽海外業績拡大、インフレ下の需要伸長と円安効果で
▽節約意識高まり低価格商品への支持が長期化
▽袋麺市場、3食パックの存在感ジワリ高まる
▽行政や流通との連携強化でSDGsの取り組み多彩に
▽ロングセラーの大幅リニューアル相次ぎ品質向上へ
▽コロナ感染拡大期、自宅療養者向けで即席麺の利用増
▽日本即席食品工業協会、新理事長に安藤宏基氏
▽世界総需要1千181億食(21年)、3年連続で過去最高更新