上期の清酒輸出は約20%増
宝酒造インターナショナルは清酒を中心に現地製造する米国宝酒造(アメリカ)と宝酒造食品(中国)、日本食材卸会社のフーデックス社(フランス)など同社グループの海外に広がるネットワークを生かし、各国・地域のニーズに即した日本酒の輸出に取り組んでいる。「日本食の浸透にあわせて清酒のニーズが多様化し、『白壁蔵』(神戸市)などで製造する付加価値の高い日本産清酒の需要が高まっている」(宝酒造INTL)。近年はスパークリング清酒「松竹梅白壁蔵『澪』」による市場開拓や、酒質・デザインにこだわった海外専用商品の開発に注力する。
昨年の酒類トータル(リキュール等含む)の輸出売上高は約10億円。国・地域別の構成はアメリカが最大ボリュームで、香港、中国、欧州向けなどが続く。
近年最大のトピックスは、スパークリング清酒「松竹梅白壁蔵『澪』」の躍進だ。現在は39か国(21年実績、日本除く)で販売。今期は10万ケースを見込む。主力のアメリカでは昨年から現地系スーパーの取り扱いが拡大中。順調な売れ行きを受け、直近は大規模な販促企画にも採用された。「新しい『JAPANESE SAKE』として認知されつつある。酒質に対する評価は非常に高い。日本食以外にも合わせやすく、特に若年層の支持を得ている。SNSを使ったカクテル提案など情報発信を強化し、購入頻度を上げていきたい」(同社)。
22年秋は海外専用商品を拡充。「松竹梅『Kaori』」は、欧州市場向けに発売。フルーティーな香りと現地のニーズに合わせたラベルデザインが特徴。手軽な小容量(180㎖)で新規ユーザーを開拓する。アメリカのハイエンド料飲市場に向け、「松竹梅白壁蔵『至宝』〈純米大吟醸〉精米20%袋吊り」を発売。兵庫県産の山田錦100%で、精米歩合は20%、低温で丁寧に醸した最高級の逸品。
一方、「白壁蔵」ブランドを冠したラインアップでは、看板商品「生酛純米」をはじめ、米国専用ボトルの「特別純米」(写真㊦)などが定着。「松竹梅」ブランドの「京都純米」(伏見工場製造)は、ボトル全面を華やかな金ラベルであしらった。
22年度上期の清酒輸出売上高は、アメリカなどが牽引し、約20%増と計画を上回って推移。下期は世界的なインフレなどの影響で慎重な見通しを立てているが、「好調な『澪』の拡大に注力する。市場での存在感を高め、他の商品にも波及効果が出てくれば」(同社)。