「値上げに向けて動いている時に出てこられると、近隣のスーパーとの商売に影響する」(メーカーの営業担当)。昨年、関西スーパーマーケットを巡って、エイチ・ツー・オーリテイリングと争奪戦を繰り広げたオーケーは今年10月、関西市場への24年の進出を明らかにした。
コロナ禍で長らく続いた行動制限がなくなり、人々が外に出て行ったことで、食品スーパーが受けていた恩恵も失われた。製品の値上げが相次ぎ1品単価は上昇したが、買い物客の節約志向は根強く買上点数は伸び悩む。さらに、電気代をはじめとするコストの急激な上昇、高まる賃金以上に深刻な人手不足など、スーパーが抱える課題は多い。
こうした中で発表された、オーケーの関西進出。卸の担当者は「関西の市場はまだいけると思っているのかもしれないが、そんなに甘くない」と指摘する。2年前、先行して関西に出店したロピアについては、当初の勢いが弱まったとの見方が強い。「最初の時ほど衝撃的な売価は見られない」「マネジメントの不安定さが売場に表れている」といった声が業界関係者から聞こえてくる。だが、11月に開業した、ららぽーと堺の店舗はオープン直後から入場制限がかけられるほど列ができ関心の高さをうかがわせた。
こうした中、10月には業務用卸のトーホーが子会社の小売業、トーホーストアの全株式をコノミヤに譲渡することを明らかにした。経営環境が厳しさを増す中、再編により規模を拡大し生き残りを図る小売業。
一方で「スーパーの統合は、取引条件に影響を及ぼす」とメーカーの幹部。「くっついても需要が増えるわけではない。条件はより低い方に流れ、われわれの原資だけがなくなる」と嘆く。
さらに、冒頭の言葉通り域外資本が加わった小売間競争の激化で、苦心しながら進めてきた値上げの動きが逆行しないとも限らない。取引先メーカーや卸の懸念は高まっている。