日本飲食団体連合会は11月29日、都内でパネルディスカッションを開催。二之湯武史専務理事の進行で、佐藤裕久副会長、高橋英樹理事、米田肇理事が「未来志向の外食産業」をテーマに議論を交わした。パネリストからは「コロナ前の収益構造を見直すべき段階にきている」といった問題提起や、「課題を解決するために業界団体として政治・行政とのパイプを強める必要があるのでは」などの意見も挙がり、討論は白熱した。
佐藤副会長は「コロナ禍で地域格差が深刻になっている。地方の飲食事業者が置かれている状況は本当に厳しい。その土地でしか食べられない食材もある。『日本が地方を失っていいのか』と認識すべきだ。地方の事業者のとてつもない苦しみをともに考えねばいけない」と訴えかけた。
米田理事は「料理の価格については、原価に対して創造性をどれぐらい乗せられるかだと考えている。単に原価の3倍といった考え方はおかしい。欧州はレストラン向けの食材の原価は日本より低い。例えばフランスでは、農家がレストランに食材を安価で納入している。レストランで食べた料理を気に入った観光客に十分な利益が出る価格で食材を売れるからだ。これが政府の観光戦略となっている」と海外事例を紹介した。
高橋理事は「外食産業50年の転換期だ。お客様を考えてビジネスをしてきたのか、それとも同業者だけを意識してきたのか。そのツケが回ってきている。食団連は社会的な問題を解決するといった視野を持たないといけない。そもそも飲食業の収益性の低さや、調理師免許がなくても開業できてしまうといった参入障壁の低さを変えていかないとシェフもサーブする人も守れない」と危機感を示した。
会場では衆議院議員の小泉進次郎氏によるビデオメッセージも紹介。小泉氏は「日本の食と文化を世界に発信する新たな時代を作るために、皆さんとともに食の世界と政治・行政が手を取り合って何ができるのか、ともに考えるきっかけになれば良いと思っている。皆さんが生きがいとやりがいをもって働ける環境がつくれるよう全力を尽くしたい」と語った。