米菓製造販売のマスヤ(三重県伊勢市、浜田吉司社長)の22年9月期売上高は前年比9.2%増の着地となった。同業大手の操業停止を受けて市場が深刻な品薄となり、2月以降の需要が急拡大。「当社も臨時の増産体制で臨んだ。その結果、関東であれば『しょうゆ』、すでに『しょうゆ』が定着している西日本エリアでは『銀しゃり』の導入が進んだ。その一方で、一部アイテムについては緊急終売や発売延期も余儀なくされた」(森紀之専務)という。
看板ブランド「おにぎりせんべい」は、レギュラーの「しょうゆ」、第2のフレーバーとして育成強化を図っている「銀しゃり」がともに好調。今年発売50周年を迎えた欧風せんべい「ピケエイト」も記念企画などが奏功し堅調だった。テレビ番組とのコラボ企画から生まれた「おにぎりせんべい AIせんべい」も話題を集めた。
主軸商品「おにぎりせんべい しょうゆ」の容量別販売状況は、定番タイプの108gサイズと小袋の25gサイズが二ケタ増、4連タイプも5%超のプラスとした。62gサイズは昨秋、プラスチック使用量削減を狙いに包装のスリム化を実施。容量据え置きをアピールしたものの、当初は客離れを起こし微減となった。ただし、2月以降は前述の需要増に伴い数字を回復している。
個包装ファミリーパックは、「しょうゆ」が一ケタ台後半のプラス。「銀しゃり」は生産体制を増強したこともあり前年比2倍超の伸びを見せた。
季節限定商品は「梅しそ」「和風カレー」ともに好調。「3種アソート」も二ケタ近い伸び幅だったが、「メーンの『しょうゆ』と『銀しゃり』に製造を集約するため前期は季節フレーバーを2種しか出せず、『3種アソート』も7月末で終売とした。季節商材に関しては、今期は通常運転に戻す」(同)としている。
一方、「ピケエイト」(55g)は7~8%のプラス。記念企画では、フランス国旗をイメージした青・白・赤の3色展開の期間限定パッケージを発売。また、ピケエイトオリジナルエコバックや映画ペアチケットが当たるプレゼントキャンペーンも好評だった。
今期(23年9月期)の売上高は前年比3.1%減の計画。自社商品に関しては前期に底上げできた数字を堅持していく構えだが、子会社の日乃本米菓の数字を若干抑えめにした。
営業施策については、引き続き「おにぎりせんべい」の一層の拡販を目指す。地元中部以外では、関東エリアで「レギュラー」、西日本エリアでは「銀しゃり」の定番配荷アップに注力。特に「銀しゃり」は、第2のフレーバーとしての地位確立に向けリブランディングも予定する。
新年度から「おにぎりせんべい」の108gとファミリーパックを値上げし、62gサイズは58gに減量したが、「現状その影響は出ていない」(同)とのことだ。