日清オイリオグループの久野貴久社長は先月17日の第2四半期決算説明会で、「下期も引き続き、適正な販売価格の形成に注力するとともに、付加価値品の拡販による新たな市場創出や業務用・加工用ユーザー向けのソリューション提案を強化する」方針を示した。
同社の上期連結決算は売上高2千756億円(前年比41%増)、営業利益94億円(50%増)、経常利益98億円(38%増)、当期利益77億円(46%増)。原料価格の高騰と為替の影響で、国内油脂事業の上期原料コストは前期比260億円の負担増となったが、汎用油の価格改定が浸透。業務用の回復や家庭用の数量増加、海外加工油脂におけるパーム油の時価評価益の増加も寄与し、増収増益を達成した。
国内ホームユース(家庭用)では、汎用油の価格改定が進む中で、付加価値製品が好調。「日清ヘルシーオフ」「日清キャノーラ油ナチュメイド」など付加価値型のクッキングオイルや、こめ油などの戦略商品の拡販が進んだ。
業務用はコロナ禍からの外食需要の回復に加え、価格改定効果で売上高は前年を大きく上回り堅調に推移。ユーザーの課題解決に貢献するニーズ協働発掘型提案営業を推進し、長持ち油などの機能性フライ油の拡販も進んだ。
足元では大豆・菜種の原料相場は落ち着きを見せているが、「下期は円安の影響が出てくる。大豆、菜種の在庫率は依然として低水準で、バイオ燃料などの需要拡大も続いており、楽観できる状況ではない」と説明した。その上で「下期も引き続き、適正な販売価格の形成に努めていく」と強調。汎用油に続き、オリーブオイルなどプレミアムオイルの価格改定を急ぐ方針を示した。特にオリーブは欧州の干ばつによる需給への影響とさらなる価格上昇が懸念されているという。
MCT配合商品 新規採用が増加
機能性商品では、MCTオイルが順調に拡大している。家庭用での販売拡大だけでなく、機能性素材として加工食品メーカー向けの取り組みが広がっており、MCTを配合したチョコレートなど今上期は30件の新規採用を獲得。下期も継続的なアプローチとコミュニケーション活動を推進するとともに、従来からの脂肪燃焼に続く次期展開ストーリーとして、「フレイル予防」に向けた取り組みを強化する方針を示した。