コロナも3年目に突入し水際対策の緩和などから人の流れも活発になり、コンビニや土産物も回復傾向にある。秋冬商戦にスタートダッシュをかけたいところだが、物価上昇が10月から本格化し、スーパーでの買い上げ点数は減少傾向。節約するカテゴリーの№1は菓子・デザートと言われ、チョコレートは若干の不安を抱えながら本格商戦突入となる。
チョコレート市場(4~10月)は、SRI調べによると3.5%減で着地。商戦が活性化される10月単月が前年並みとなった以外、すべての月でマイナスを喫した。その要因は、記録的猛暑に加えて、嗜好品である菓子は食品業界の値上げによる買い控えが影響しているのではと推測される。また売れるもの売れないものの二極化も進んでおり、付加価値型商品、特にハイカカオや糖質オフなど健康価値の高い商品は堅調に推移しているが、価格訴求型商品は特売が減ったこともあり厳しい状況となった。
健康系が市場を牽引し、チョコレートの可能性を広げたことは間違いないが、菓子市場の成長エンジンであるキャンディー・グミカテゴリーが伸長している背景に、Z世代の獲得やお菓子本来がもつ楽しさが消費者の心を惹きつけていることが挙げられる。
チョコレート業界は、明治、ロッテ、江崎グリコなど大手総合菓子メーカーと中堅メーカーで取り組み方が二極化している。大手メーカーは総じて主力ブランドの選択と集中や、健康価値商品への注力、明治やロッテが手掛けるカカオの可能性追求などからカカオが持つポテンシャルを最大限に生かそうとしている。
一方、中堅メーカーは、チョコレートの持つ楽しさを引き出すため話題作りに余念がない。話題性のあるWEBCMやキャンペーン、商品開発で、SNSフォロワーが1年で20万人から43万人に増え、前7月期15%増と好調な有楽製菓や、キャラクター事業の展開や含浸チョコ商品で若年層を獲得し最高売上を更新しているギンビスなどの数字からも、Z世代を巻き込むことの重要性が判断できる。
この二極化は決して悪いものではなく、規模の差があるからこそお互いのフィールドをしっかり遂行していくことがチョコレート業界を盛り上げることにつながるだろう。ただ、エシカル消費の意識が高いZ世代を取り込むためには、サステナブルな取り組みは中堅メーカーもどこまで対応できるかもカギとなる。