生活防衛強まる下期 「松・竹・梅」マーケティングに本腰 PBとダイソー商品の合わせ技 セブン-イレブン

10月には今年最多の6千品目を超える食品値上げが行われ、家庭の年間食費支出は平均約6万8千円アップするとみられている(2人以上世帯/帝国データバンク調べ)。高まる生活防衛意識を前に、コンビニも「価格と価値」のバランス追求に頭を悩ませる。

「価値訴求は継続していくが、価格帯のバランスにはやはりきちんと配慮せねばならない」と語るのは、セブン-イレブン・ジャパン取締役執行役員商品本部長の青山誠一氏(17日の商品説明会で)。

同社では「松・竹・梅」を強調したマーケティングを本格化。各種の商品フェアや名店監修品により価値・価格帯とも向上を目指す「松」とともに、重要になるのが値ごろ感重視の「竹」「梅」への対応だ。

「基本商品の磨き込みで『竹』の品質をいかに上げるか。『竹』が少し『梅』のほうに流れてきているのは、様々な商品が値上がりするなか、竹でありながら梅の価格帯で取り扱える商品が(PBの)『セブンプレミアム』にはあるということを示している」といい、「竹」と位置付ける同PBの拡充で「梅」へのニーズもカバーする考えだ。

セブンプレミアムでは、食品や雑貨などのうち価格優位性の高い計115アイテムに「安心価格」POPを表示して集中展開。これにより菓子は132%、カップめんは142%など顕著な伸びがみられた。

また今年から展開する「ダイソー」の税込110円商品も取り扱いを拡大。アルコールティッシュなど、これまでコンビニでは需要が限られていた商品の売れ行きが好調だという。ゴンドラ1本4段の標準レイアウトに加え、周囲に小売店が少ない店舗ではさらに2本追加してニーズを実証する。

利益構造が異なる100円ショップの商品を取り扱う難しさはあるものの、「粗利をきちっと取るものと販売数を追うものがあり、粗利ミックスで結果的に1店ごとの粗利率が維持できればいいと考えている」(青山氏)。

これらに加えてカギを握るのが、「梅」価格帯への対応として導入を開始した「セブン・ザ・プライス」だ。グループのイトーヨーカ堂が展開する価格訴求型PB「ザ・プライス」をベースに開発した。

現在のところ取り扱い店舗は、グループのスーパー含め280店程度。エリアごとの世帯年収やスーパーの分布状況など個店の商圏特性を吟味しながら拡大を進める。

「いきなり全店でということは考えていない。ダイソー商品の導入に関しても、それによって売場から外れた商品があり、それでもきちんとプラスに転じるのか確認したうえで拡大を進めた。それと同じ形で考えている」(青山氏)。

今後の経済環境変化に対しても素早く対応できるよう、消費動向を見極める考えだ。