ヨークとシェルガーデンが初協業 二極化対応の新店舗 都心出店加速なるか

ヨーク(本社・東京都江東区、大竹正人社長)は10月21日、東京都中野区に「ヨークフーズwithザ・ガーデン自由が丘中野店」をオープンした。売場面積は1千546㎡。高価格帯商品を得意とするシェルガーデン(本社・東京都千代田区、稲富仁社長)と初めて協業し、その他のセブン&アイグループ企業との連携も強化。品揃えを拡充し、消費の二極化に対応する。同日、大竹社長と稲富社長らは記者会見を開いた。

2020年6月にヨークマートから社名変更して誕生したヨークは、20年6月に新宿富久店、21年11月に早稲田店をオープン。中食対応・セルフレジ導入・サテライトキッチンからの商品供給など、都市型店舗のモデルづくりを進めてきた。中野店の改装オープンは、それらの延長線上にありながら、さらなる都心出店を視野に入れている。

ザ・ガーデンのセレクト品が並ぶワインコーナー(ヨークフーズwithザ・ガーデン自由が丘中野店) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
ザ・ガーデンのセレクト品が並ぶワインコーナー(ヨークフーズwithザ・ガーデン自由が丘中野店)

改装オープンに先立ち、商圏分析と近隣住民約1千人へのアンケートを実施。それらの結果を参照し、品揃えを大幅に拡充した。

シェルガーデンの供給品は、酒、菓子、飲料、調味加工、和・洋デイリーなど合わせてSKU500ほど。「御茶ノ水小川軒」「沢屋」「新宿高野」などの特設コーナーやグロサリー棚のエンドほか、各ジャンル棚に散りばめられた。

ヨークフーズの「磨き込まれたオリジナル商品」(大竹社長)に加え、「シェフズレシピ」「イーズアップ」といったイトーヨーカドープライベートブランドが援軍。

ヨークベニマルの「レストランデリ」で中食需要に応える - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
ヨークベニマルの「レストランデリ」で中食需要に応える

新宿富久店でも導入しているヨークベニマルの「レストランデリ」は、オープン前に同社から責任者を招いて直接指導を仰いだ。弁当品目を約2倍に増やしたデリカコーナーの近くには3台のセルフレジが設けられ、単身者の需要を満たす。

低価格帯の強化については、「セブン・ザ・プライス」をグループから供給。「NB商品の値上げ局面で大きく伸ばしている。中野店は上質一辺倒にするつもりはない」(大竹社長)。

また、アンケートで野菜に関して、価格のみならず鮮度に対する不満も多かったことから、頻度品の鮮度・質・価格を見直した。

ヨークフーズのサテライトキッチンや、イトーヨーカドーのセントラルキッチン、プロセスセンターなどグループインフラも活用。23年3月に流山キッチン、24年2月には千葉キッチンと、Peace Deliの生産拠点がそれぞれ稼働開始を予定しており、「首都圏でインフラの整備が遅れてしまったが、今後出店の範囲が広がる」(大竹社長)。

中野店の具体的な売上目標は非公表だが、前店舗比売上高20%増を掲げる。大竹社長は「中野エリアの一番店を目指す」と意気込みを見せ、「成功すれば、このモデルでの『都心攻め』はありうる」と今後の可能性を示唆。稲富社長は「SM同士の協業は初めての試み。今後に向けたグループ各社との取り組み検討が進んでいる」と明かした。