日本アイスクリーム協会はこのほど、東京・千代田区の内幸町ホールで、アイスクリームメーカー会員およびアイスクリーム向けの香料や資材、機械メーカーなどで構成する日本アイスクリーム産業振興会の会員など約70人を招き第48回アイスクリームセミナーを開催。厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課の三木朗課長が「食品衛生をめぐる最近の動向について」、アサヒ飲料未来創造本部の相田幸明CSV戦略部長(理事)が「アサヒ飲料におけるCSVの取組み事例」をテーマに講演した。
講演に先立ち石井克明専務理事は「今年度上半期の天候は、いったん修正が入ったものの久しぶりに暑い夏となった。残暑も9月末まで続き、アイスクリーム業界は天候に恵まれた。一方で、原料需給の変化や為替の影響により価格改定が行われ、その影響が懸念されたが、結果的には残暑に助けられた。上半期の速報値は前年同期比102~103%とみられる。ワクチン接種が広がり旅行支援も開始され、今まで以上に人流の増加や観光客増加による業務筋の活性化も期待できる。協会では日々の問い合わせ対応や、各種のキャンペーンなどを含め、会員を後押ししていく」とあいさつした。
アサヒ飲料の相田部長によれば、同社のCSVは「環境」「健康」「地域共創」の3つが活動領域だとし、それぞれの領域での活動事例を示した。環境戦略では、気候変動や資源や水の保全、プラスチック問題を重点テーマに挙げ、リデュース(へらす)に加え、サーキュラーエコノミー(資源環境)、アップサイクル(再利用)を推進。具体的な事例としてラベルレスボトルや水平リサイクル(ボトルtoボトル)などを挙げた。健康戦略では、運動、睡眠、食事が連動したバランスの良い活動が心と体と社会の健康につながるとし、全社員で歩く取り組み(Walk For A Smile)や、睡眠の質(眠りの深さ)を高めるのに役立つ、カルピス由来の自社商品の乳酸菌科学シリーズ「届く強さの乳酸菌W(ダブル)」を挙げた。
地域共創戦略では、全国自治体での商品、サービスのテスト展開や自治体イベントに積極参加することで地域社会に「にぎわい」「なりわい」をもたらすための活動を推進。年間約60回行っている、小学生を対象にした出前事業や次世代育成活動、アクションラーニング(新入社員研修)などを具体的に示した。