「セブン‐イレブンにヨーカ堂の内食」「ヨーカ堂にセブン‐イレブンの中食」 商品の相互供給を軸足に連携強化

 セブン‐イレブン・ジャパン(SEJ)とイトーヨーカ堂(IY)はシナジー最大化に向けて、商品の相互供給とサービスの相互展開を軸足に連携を強化していく。

 8月に立ち上げたSEJ・IY・パートナーシップ(通称SIP)によるもので、販促や店舗オペレーションでも連携していく。

 消費者の多様化するニーズや“外出を控えて近くの店でまとめて買いたい”ニーズへの対応強化が目的。

 SEJでは、品揃えの拡充やフェア開催で売上げは回復基調にあるものの、客数の回復が依然課題となっている。

 13日発表したSEJの木村成樹取締役専務執行役員は「客数に大きな課題があるのが実情。都心にある店、事業所が多い店、繁華街に近い店は19年に比べると人の流れは戻りきっていない。そういう背景の中で、食のニーズがやはり多様化している」と指摘する。

セブン‐イレブン・ジャパンの木村成樹取締役専務執行役員 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
セブン‐イレブン・ジャパンの木村成樹取締役専務執行役員

 多様化し増加傾向にある家庭内消費を巡りデリバリーなどとの競争が激化。小売を取り巻く環境が大きく変わる中で、SEJ・IY双方の強みを活かして持続的な成長を目指していく。

 そのシナジー創出の主な取り組みとして、SEJが強みとする中食(おにぎり・弁当・惣菜など)と、IYが強みとする内食(生鮮・ミールキットなど)の相互供給を推進していく。

 既にSEJ約3分の1の店舗にIYの野菜を導入。

 その手応えについては「非常にご好評をいただいている。野菜を買われるお客様は客単価が高く、一か所で買い物したいニーズに応えることができる」と語る。

 競合店などのロケーションを見極めてSEJにIYのPB「ザ・プライス」の導入も進める。

 「SEJは今後も価値志向で商品を提供していくが、周辺にディスカウントストアやドラックストアが多い店舗や価格に敏感なお客様が多い店舗には『ザ・プライス』をしっかりしていきたい」考えだ。

 SEJでのIYオリジナル冷凍食品「EASE UP(イーザップ)」の拡充や発展も視野に入れる。

 「SEJでも冷食をしっかり開発していると思っていたが、両社のマーチャンダイザー同士でコミュニケーションすると、我々にも新たな気づきがあった。我々には冷食のお弁当がなく、『イーザップ』を数十店舗でテスト販売したところ意外に売れている。新たな商品開発やお互いの強みを活かしながら品揃えの幅を拡充していきたい」と意欲をのぞかせる。

 そのほかSEJとしてはIYでノウハウを蓄積しているミールキットなどを検討していく。「領域を広げながら取り組んでおり、近々、成果を報告させていただきたい」という。

イトーヨーカ堂の河田靖彦取締役常務執行役員 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
イトーヨーカ堂の河田靖彦取締役常務執行役員

 一方、IYとしては、IY商品が販売力を強みとするSEJに導入されることで売上拡大を見込む。
 IYの河田靖彦取締役常務執行役員は「家庭で内食に使うような商品はIYのほうが多く品揃えしており、これらをSEJが扱うことでチャンスがあると思っている。IYが取り扱える規模は限られているがSEJと一緒に販売していくことでスケールメリットが見込める」と述べる。

 SEJは2万1000強の店舗数を構え全店トータルで1日平均2000万人が来客する。

 IYの売場づくりでは、SEJの「カップデリ」(小容量の惣菜・サラダ)やスイーツの中食に期待を寄せる。
 「IYの顧客層は主婦が中心で、SEJの顧客層である若い方や独身の方向けの開発がまだできていないところがある。SEJ商品を導入した店舗の中には全体の売上が上がったところもあり、商品面を中心に連携していきたい」との考えを明らかにする。

 共同調達や「セブンプレミアム」については「惣菜といったところは共同開発でき検討していく。『セブンプレミアム』はアイテムが多くある中でコンビニ専用、スーパー専用があり、もっと集約してともに強くできるのではないかと考えている」。

 共同調達は、雑貨関連のNB商品や日用品、玩具なども検討の対象にしていく。

 サービス面では、商品お届けサービス「」でIY商品を取り扱うことを予定。「23年春に『イトーヨーカドーネットスーパー新横浜センター』(仮称)の開設と、生鮮品を含めたネットスーパーの商品をSEJの店舗で受け取るというテストを進めている」と述べる。

販促で連携する「#めちゃハピハロウィン」の商品群 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
販促で連携する「#めちゃハピハロウィン」の商品群販促・オペレーション・データでの連携も強化する。

 販促では、初の合同フェアとして「#めちゃハピハロウィン」を18日頃から開催し、メッセージを統一したほか、SEJで放映するTVCM素材を一部加工してIYのサイネージなどに活用していく。

 相互送客には、両社のSNSアカウントやアプリも活用する。
 SEJとIY両方の公式アカウントをフォローして該当の告知投稿をリツイートすると抽選で100人に1万円分のnanacoギフトが当たる施策や、7iD会員を対象にSEIで商品を購入するとクーポンがIYアプリに届きIYで商品を購入するとクーポンがSEJアプリに届くといった施策を展開していく。

 オペレーションでは、行政との包括連携協定を共同締結し、SEJ・IYがこれまで別々に取り組んでいた各自治体との地産地消・防犯・災害など取り組みを一緒に行う。
 データの連携については「POSデータをお互い見ることができれば、さらなるお客様のニーズに合った品揃えや商品の注文が可能になる」(SEJ木村取締役)と説明する。