伊藤園は「TULLY’S COFFEE(タリーズコーヒー)」ブランドで家庭内需要に対応した“おうち商品”を本格展開している。
同社は昨年6月、初のおうち商品としてドリップバッグ(ドリップコーヒー)をスーパー・量販店・コンビニ向けに発売開始。その後、市場では珍しい個包装タイプのレギュラーコーヒーを発売して売場を少しずつ獲得してきた。
今年は、流通の秋冬の棚替え時期にあわせておうち商品を拡充。
取材に応じた井上信一マーケティング本部新ブランド育成コーヒーブランドグループチーフは「昨年はドリップコーヒーの最需要期ではない夏期に販売したということもありコーヒー(嗜好品)の定番棚になかなか入れなかった。ジャンブル什器などで販売されることが多く、認知度は低く売場を見つけにくい状況だったが、この秋からやっと定番棚に入れていただき本格展開できる」と語る。
同社は「お~いお茶」がドリンクとリーフの両面で展開しているように「タリーズコーヒー」もボトル缶に留まらず領域を広げていくことでブランド力を高めていく方針を掲げる。
「タリーズコーヒー」では、おうち商品全般を“おうちタリーズ”と称して展開していく。
「ドリンクと嗜好品という分け方ではなく、家庭内と家庭外の飲用シーンで大別して家庭内をおうちタリーズで対応していく」と説明する。
昨年発売したドリップコーヒー「TULLY’S COFFEE THE BARISTA’S ROAST(タリーズコーヒー ザ バリスタズロースト)」シリーズ3品は、店頭での視認性を高めるため金色を基調としたパッケージに刷新して9月から順次発売している。
同シリーズは、コーヒー豆高騰などのコストアップにも対応し1箱の入数を6袋から5袋に減らして販売価格を据え置いている。
同シリーズの新商品としては「カフェオレブレンド」のドリップコーヒー1品と「BLACK」「キリマンジャロブレンド」のレギュラーコーヒー粉商品2品を取り揃え9月5日から発売している。
「カフェオレブレンド」は、あらかじめ温めたミルクの上からドリップするもので「コーヒー豆の配合比率はタリーズコーヒーのショップと同じになっており、おうちでもショップのカフェラテの味わいが楽しめる」という。
一方、「BLACK」「キリマンジャロブレンド」のレギュラーコーヒー粉商品2品は、ボトル缶の「TULLY’S COFFEE BARISTA’SBLACK(タリーズコーヒーバリスタズブラック)」と「同キリマンジャロBLACK」の2品では取りきれない週末のおうち需要の獲得を目的としている。
「ボトル缶ブラックは主にビジネスパーソンに平日飲まれており、週末にもタリーズに触れていただきたいと考え、二人で土曜日・日曜日の2日間にかけて飲み切れる80gのサイズにしたのがポイント。一度開封すると劣化が進むため、おいしく飲み切っていただきたいと考えあえて小
容量とした」と説明する。
この秋冬は、8月に立ち上げた“お茶”のおいしさを届ける新ブランド「TULLY’S &TEA」のドリンクと連動してスティックカテゴリーにも参入。
「TULLY’S &TEA 抹茶がおいしい抹茶ラテ」「同 焙じ茶がおいしいほうじ茶ラテ」「同 紅茶がおいしいミルクティー」3品を9月5日に新発売した。
ドリンクでも家庭内需要に対応していく。
すでに昨年7月に発売開始した大容量シリーズ「MY HOME BLACK COFFEE」「同 微糖COFFEE」は好調に推移している。
「2品とも伸びており、伸び率では『BLACK COFFE』が圧倒的に伸びている。売場も2品で拡大している。ご自宅で、自分好みの飲み方にアレンジしたり、ワンランク上の味わいを手軽に楽しんでいただいている」との見方を示す。
チルドコーヒーの「TULLY’S COFFEE ESPRESSO with MILK(タリーズコーヒー エスプレッソ ウィズ ミルク)」と「同HONEY MILK LATTE(ハニー ミルク ラテ)」も好調。
この中で「ハニー ミルク ラテ」はタリーズコーヒーのショップ品質にあわせて、あえてはちみつ感を抑えた味覚設計が奏功。「ほのかに感じるはちみつ味にすることで、飲用頻度を上げていくことができた」という。