日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)の秋本修治会長(極東ファディ社長)は12日取材に応じ、コーヒー生豆国際相場の高騰に円安が拍車をかけているコストアップの環境について「過去にはなかった状況」と語る。
最大生産国・ブラジルの霜害(降霜)発生による高騰は過去にもあり一時的な事象であったのに対し、今回は「下がる見通しが立たず、業界としてもどう対応したらよいのか経験がなく、消費者がこれからどう動くかも分からない。日常の中で飲まれるコーヒーの価格はどのあたりになるのかなど各社探っていくのだと思う」との見方を示す。
先行き不透明な中、SCAJとしては「おいしいコーヒーを追求していくことがこの業界の使命だと考えている」。
コーヒーの中でも、スペシャルティコーヒーは、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底され、生産地の特徴的な風味特性と爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくような素晴らしいおいしさがあるコーヒーと定義されている。
業界人がまずスペシャルティコーヒーのおいしさを見極める必要があることから「個人的な抱負も含まれているかもしれないが、カッピング能力をメンバーに啓蒙していかないといけないと考えている」。
秋本会長は、2013年のSCAJ設立時から理事として活動し、コーヒーの国際品評会「カップ・オブ・エクセレンス(COE)」の国際審査員も務める。
その経験も踏まえて「キャラクターが強い=おいしいコーヒーというのは疑問で、その見極めはプロ側がしないといけない」と語る。
産地では生豆に付加価値を与えるべく、ナチュラル・ハニー・アナエロビックファーメンテーション(嫌気発酵)など精製方法が多様化している。
カッピング能力の普及に向けては、コロナ禍で中止していたカッピングセミナーを再開させた。
気候変動でコーヒーの持続的な生産が危ぶまれる中、安定供給に向けた取り組みとしては、国際的な研究機関ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)の窓口となりWCRの活動をサポートしていくほか「生産国との関係を強化し、日本においしいコーヒーが持続的に入ってくるためのサポートをしていかなえればならない」と述べる。
12日から14日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれたアジア最⼤級となるスペシャルティコーヒーの展示会「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒーカンファレンス アンド エキシビション 2022」(SCAJ2022)には過去最大規模となる378ブースが出展。入場者数も目標の3万人を超え過去最多となることが予想される。
自家焙煎業店が増加傾向にあるとの見立てから、今後、調査結果を発表する。
「地元・福岡でも自家焙煎店が増えている。保健所への届け出が要らないため実数は把握できないが、アンケートをとり、おおよその数を出していきたい」という。
SCAJの展示会は生産国とプロ(業界)の交流の場で、今後はイベントを新たに開催するなどして消費者への啓蒙活動も視野に入れる。