コメ消費回復へチャンス

近年、個食のレトルトおかゆや雑炊が注目を浴びている。かつては体調不良時の食事や受験生の夜食利用が中心で、市場は細々と安定していた感があった。それがこの2~3年は二ケタ前後の成長率で上昇し、新規参入も増えてきている。

▼防災食としての備蓄品や、健康維持・ダイエット食として定着してきた。コロナ拡大以降は、ワクチン接種や自宅療養に備えて購入が広がり、個人に限らず、自治体が自宅療養者家族に送る支援物資に採用するケースが増加。小売店では棚を拡充する動きも出てきている。

▼メーカー側もこれを機に、幅広い世代への訴求を強めている。味の素では28年ぶりにロングセラーブランド「味の素KKおかゆ」のテレビCMを投入。雑炊分野でトップブランドのシマヤでは、老若男女に人気のカレー味を採用して若年層への浸透を図る。雑穀を使って健康感を付与したものや、洋風に味付けしたものなどバリエーション商品も増えつつある。

▼小麦粉の高騰でパンや麺類が値上げするなか、価格が安定したコメが消費回復できるまたとない機会だ。若者を中心にコメを食べる習慣を拡大・定着させ、コメ離れ防止につながって欲しいと願う。