即席麺市場は、6月に主要メーカー(一部除く)がNB製品を価格改定(平均約10%値上げ)してから4か月が経過し、新値での販促が浸透しつつある一方、課題も明確になってきた。カップ麺は1食当たりの割安感を比較的維持できているが、5食パック主体の袋麺は値上げ幅が目立ちペースダウン、「新価格浸透にもう少し時間がかかりそう」(大手メーカー)。他方、価格据置きとなっていた大手スーパーやコンビニのPB・留め型製品は、10月から来春にかけリニューアルや価格変更が進むもよう。気温低下に伴い最需要期を迎えるが、市場内部で起こっている変化の先行きが注目される。
価格改定以降、猛暑とのダブルパンチでマーケットは6~7月に苦戦を余儀なくされたが、8月はコロナ第7波に伴う需要増が押し上げ、9月も金額ベースでは堅調に推移したようだ。牽引するのはカップ麺。スーパーではNBレギュラーの特売価格(税別、以下同)が値上げ前後で98円から108円、128円から138円などに上昇し、当初は販促の足かせとなったものの、直近は「ブランドによっては数量ベースで前年水準が見えてきた」(メーカー)。あらゆる物価高が進むなか、コストパフォーマンスの高さを維持できているとみられる。
袋麺は、値上げの影響で主力のNB5食パックが回復途上にある。特売価格は値上げ前後で298円が328円、328円が358~368円に上がり、割高感が出ているようだ。とはいえ、1食当たりに換算すると65~74円と主食にしては十二分に安い。「まだ従前の売れ行きとは差があるが、358~368円での販売にも徐々に手応えを得ている。日替わり特売などを上手く使って価格にメリハリを出していければ」(同)。
一方、3食パックは拡大傾向にある。近年は上位メーカーが新ブランドを相次ぎ投入し、売場で存在感が高まっている。こちらは特売198~298円と値ごろ感を打ち出しやすいこともポイント。市場のメーンは5食パックだが、3食は比較的若い世代の購入が多いなど、全体の活性化に一役買っている。
今後の注目材料は、PB・留め型製品の動向。特にコンビニの売価は6月から希望小売価格に移行し、店頭で同種カップ麺のNBとPBの価格差が約100円と開き、商品によってはNBレギュラーが留め型ビッグより高くなる逆転現象が発生。スーパーではカップ麺の定番棚でNBが168円、PBが88円などやはり価格差が顕著となっていた。言うまでもなく歴史的なコスト高の環境はNB・PBの違いを問わない。
関係者によると、NBの新値が浸透しつつあることを受け、10月から来春にかけてPB・留め型製品の価格変更が順次スタートする見通し。具材増量やスープ改良など製品リニューアルを伴うケースが多いもよう。売価アップがどの程度影響するかは不透明だが、NB・PB双方が相対的なコストパフォーマンスの強みを発揮し続け総需要をキープできるかが焦点となりそうだ。