「DM三井製糖」誕生 資本の枠組みを超えた「100年に1度」の経営統合 砂糖産業の未来像を見据えた変革に期待感

DM三井製糖ホールディングス傘下の三井製糖と大日本明治製糖は10月1日に合併し、「DM三井製糖」として新たなスタートを切った。推定国内シェアは40%にも達し、資本の枠組みを超えた「100年に1度」(森本社長)の経営統合は、砂糖業界の新たなステージに向けた力強いメッセージとなる。加えて、国内の砂糖消費が漸減傾向にある中、糖価調整制度を担う精糖トップ企業として同社の役割は大きい。砂糖事業の収益基盤の強化に加え、海外事業やライフ・エナジー事業の拡大など、砂糖産業の未来像を見据えた変革に舵を切った同社に期待と関心が集まっている。

再投資可能な基盤構築へ 業界再編は最終局面に

5月の決算発表で明らかにした中期経営計画では「グループビジネスモデルの変革」と「経営資源の再配分」を基本方針として掲げた。その大前提となるのが「国内砂糖事業の強靭化」の実現だ。

DM三井製糖:中期経営計画の経営目標~セグメント別営業利益目標(連結) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)合併を機に調達、生産、物流など効率化を加速。国内砂糖事業の営業利益を21年3月期の29億円から、26年3月期には75億円まで成長させる。国内砂糖で稼いだキャッシュを海外事業やライフ・エナジー事業など成長領域に投入し、グループ事業ポートフォリオを大胆に変革しようとしている。

ただ、砂糖をめぐる経営環境は決して“甘くない”。農水省がこのほど公表した砂糖の需給見通しによると、2022(令和4)砂糖年度の国内砂糖消費は175万tにとどまり、コロナ前への回復にはほど遠い水準だ。原料・エネルギーコストの上昇や円安など価格値上げのプレッシャーは依然として強く、消費のV字回復シナリオは描きづらい状況だ。

砂糖消費の減少は工場稼働率の低下に直結する。装置産業である精糖メーカーにとって大きな問題だが、一企業単独での合理化・コスト削減の努力は限界に近づいている。また、国内の精糖工場の多くは経年により老朽化しており、今後は修繕・設備更新投資に耐えうる経営基盤の構築が不可欠となる。

加えて、国産糖(北海道のてん菜、鹿児島・沖縄のさとうきびの生産者や製糖業)の保護を目的とする糖価調整制度は存続の危機に瀕している。砂糖の全体需要が減少する中でも、ビート糖を中心に国産糖の供給は高水準を持続し、構造的に輸入糖が減少する傾向にある。輸入糖に課せられる調整金収入は減少し続けており、砂糖勘定(調整金収支)は巨額の累積赤字を抱えている。現在の需要実態に見合った制度への改善が急務だ。

こうした砂糖産業が抱える課題解決に向けて、資本の枠組みを超えた経営統合、生産合理化の動きは大きな一歩となるだろう。来年1月には日新製糖と伊藤忠製糖が経営統合する。「再投資可能な健全な砂糖産業」(森本社長)の実現に向け、精糖業界は動き始めている。

三井製糖・大日本明治製糖 統合までの軌跡 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
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