キユーピー 消費者直販事業を強化 新サービス「Qummy」開始

キユーピーは28日から、インターネットによる消費者直販サイト「Qummy」(キユーミー)を開設し、関東地方でサービスを開始する。「キユーミー」では野菜サラダを中心とした商品のネット通販機能に加え、食卓に役立つ情報を提供。デジタル技術を使い消費者と直接接点を持つことで、同社ではパーソナルなレベルで顧客の嗜好や健康などのニーズを把握できるようになる。ヤマト運輸と協業し、消費期限が短いパッケージサラダも工場直送で出荷できるようになった。販売エリアの拡大を検討している。

取扱商品は65品前後からスタート。買い物客が市販のパッケージサラダやトッピング、ドレッシングを自分の好みにカスタマイズできるサラダメニューのほか、オリジナルのドレッシング、独自の冷圧フレッシュ製法により作られた惣菜サラダ、スープを揃えた。さらに多様な食ニーズに応じるべく、プラントベースフード「HOBOTAMA」も販売。今後はオリジナルのミールキットやベビーフードもラインアップに追加する予定。

サイトでは顧客が抱える食にまつわる悩み解決や商品に関するストーリーも紹介。キユーピー商品サイト内にオープンした会員専用の新サービス「Hi!kewpie(ハイ!キユーピー)」とも連携する。

今回のD2C(Direct to Consumer)サービスの立ち上げは、顧客一人ひとりに「ひと手間未満」で作ることができる商品と情報を届け、「食卓幸福度」に貢献することを目的としたもの。メーンターゲットは日々の忙しさから野菜不足を感じているファミリー層になる。これまでキユーピーが培ってきた商品開発やレシピ提案力、同社グループの技術を生かし、パーソナライズされた食提案に注力する。

(左から)藤原上席執行役員、山本執行役員、稲森・ヤマト執行役員 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
(左から)藤原上席執行役員、山本執行役員、稲森・ヤマト執行役員

企画、開発、デザイン、インターフェース、運用設計などはチームラボが担当。AIチャットボットやレコメンドシステムによりパーソナライズされた食提案を実現している点などは、一般的なECサイトとは一線を画している。流通を担当するヤマト運輸では厚木ロジセンターから常温、冷蔵、冷凍商品を即日出荷。多彩な商品に対応するため、センター内の宅急便の仕分けターミナルに3温度帯の出荷施設を増設した。さらに決済やコールセンター機能を組み合わせた最適な流通スキームでキユーピーをサポートする。

上席執行役員新規市場開発担当の藤原かおり氏は「サービスの特性を生かすためにミールキットや惣菜のほか、ストーリーを伝えられる商品を揃える。当社製品の主要販路である一般流通との棲み分けを明確に図りたい」と取扱商品の方向性に言及。上席執行役員カスタマーサクセス担当の山本信一郎氏は「消費者と直接つながることで得た情報を様々な事業に生かしたい。3年後をめどに会員数10万人超えを目指す」と意欲をみせた。