東洋水産のカップ麺「マルちゃん 麺づくり」が、発売30周年を機に大幅な進化を遂げた。キャッチコピーは「つるっとなめらか麺×香り立ちスープ」。自慢のノンフライ麺は、独自製法で生麺のような食感をさらに追求した。スープは、フレーバーごとに食欲をそそる香りを付与しておいしさがアップ。5日から「鶏ガラ醤油」「合わせ味噌」など既存6品に、新商品「旨豚中華そば」を加えた合計7品を発売中。商品を担当する加工食品部即席企画課の京田友里香氏は「家族みんなで食べられる王道の味わいに磨きをかけた。これからも長く愛され続けるブランドにしていきたい」と意気込みを語った。
ノンフライカップ麺売上食数1位*
「麺づくり」は、世間で本格志向が高まりつつあった1992年当時、ノンフライ麺を使用した新ブランドとして産声を上げた。しばらくは思うように売上が伸びなかったが、2000年に麺質を大幅に向上させて以降、成長軌道に乗った。麺へのこだわりを追求する一環で、「醤油は細麺」「味噌は太麺」など、フレーバーごとに麺の形状を変えたのはこの時からだという。その後も時代に合わせて麺・スープをリニューアルし、新規アイテムを追加するなど商品ラインアップを充実させてきた。
現在はノンフライカップ麺で売上食数トップの座にあり、累計の販売数量は20億食を突破した。
*インテージSRI+:2021年9月-2022年8月/推計販売容量/全国/全業態。
新製法で麺の食感・ほぐれなどレベルアップ
22年秋リニューアルのテーマは「30年目の大進化」。これまで支持されてきたスタンダードなおいしさを大切にしつつ、麺・スープともさらなるレベルアップを目指した。
麺は、新たに採用した「つるっと食感 温水なめらか製法」により、表面が滑らかで、つるっとした食感を実現、さらには湯戻し時のほぐれが格段に良くなった。また麺を長くしてスープの香りをより楽しめるようになったこともポイント。
スープは、「新・香り立ちスープ」をキーワードに一斉リニューアル。既存の「鶏ガラ醤油」「合わせ味噌」「旨コク豚骨」「鶏だし塩」「担担麺」「醤油とんこつ」はそれぞれ“食欲をそそる香り”を付与し、各フレーバーの特長をより感じられるようにした。新商品で「旨豚中華そば」を発売。まろやかな味わいのスープに仕上げ、既存の「鶏ガラ醤油」とは違った豚ベースの醤油ラーメンを訴求する。7品とも価格は214円(税別)。
京田氏は「開発中は部署のメンバーと毎日のように試食した。目指したのはラーメン店で食べるような味わい。完成度の高い商品に仕上がった」と自信をみせる。
一方、パッケージデザインにもこだわった。特徴的なのは麺を箸で持ち上げている様子を右側に配置したことだ。最大のポイントである麺の進化を強調し、ラーメン店で食べるような臨場感の演出を狙った。またカップ容器のサイズを変更。内容量は同じながら口径をΦ150からΦ141へとコンパクトにし、店頭での陳列効果がアップした。
あわせて省資源にも貢献。リニューアル前に比べプラスチック原料が年間約36t削減、紙原料が年間174t削減できるという。
新しいファンの開拓にも挑戦
発売に合わせ、関ジャニ∞の村上信五さんを継続起用したテレビCMを放映。村上さんがラーメン店主に扮し、“フタをあければ本格系”の「麺づくり」を力強くアピールする内容。「カップ麺というだけでなく、ラーメンを食べたいと思った時にも選んでいただけるようになってほしい」(京田氏)。
一方、9~10月に大陳コンテストを実施。「麺づくり」のロゴや画像が入った風船、ポスターなど販促物を豊富に用意し、全国の食品スーパーなどで「30年目の大進化」を大々的にアピールしている。また30周年を記念した消費者キャンペーンや限定商品の発売を検討中。
今後に向けて、京田氏は「まずは30周年をしっかり盛り上げることが重要だが、これまで以上に新しいお客様にも買っていただけるブランドにしたい。プロモーションや情報発信などで新たな取り組みにもチャレンジできれば。定番7品の導入率を上げ、店頭で目に留まりやすい環境を作っていけるかも課題」と話し「これからもスタンダードな味わいで家族みんなに愛され続ける存在でありたい」と展望した。