食品の値上げが相次ぐなか、食品原料の一つとして販売されている業務用塩も今年春に続き2次値上げが確実になった。国内製塩の大手・鳴門塩業(徳島県鳴門市)は4日、同社が販売する塩製品を11月1日出荷分から現行価格から1kg当たり14円以上の価格改定を発表した。
鳴門塩業と並ぶ国内製塩大手では、ナイカイ塩業、ダイヤソルトの塩工業会メンバー、日本海水がそれぞれ同程度の上げ幅で価格改定を発表しているが、業務用塩は醤油、みそ、漬物、水産加工品など幅広い用途で使用されており、加工食品全般に影響を与えることになりそう。
国内製塩の価格改定は通常、2年に一度の輸入塩の価格改定にあわせて発表されるケースが多いが、輸入塩の価格改定が発表される2023年1月を待たずに2次値上げを発表する背景は、諸コスト高で経営環境が過去最大規模で圧迫されていることによる。
鳴門塩業は今回の価格改定について、今年2月のロシアによるウクライナ侵攻が与えたエネルギー市場の影響、特に石炭価格については「さらなる高騰や円安ドル高水準により事業継続にも支障をきたしかねない状況となっている」と説明している。
鳴門塩業をはじめイオン交換膜製法の国内製塩大手は、一部を除き塩の製造工程で不可欠なボイラー燃焼に石炭を使用している。石炭単価は昨春以降、前年同期比で約3倍に急騰している。秋口以降も約2倍に。今年に入ってからはウクライナ情勢がさらに高騰へと拍車を掛けたため、全社が未曽有の経営難に直面している。