サンヨー食品「名店の味」 さらにハイグレード追求! 「天下一品」史上最高のこってりスープへ

サンヨー食品のカップ麺「名店の味」ブランドが販売好調だ。とくに昨年9月に発売した「天下一品 京都濃厚鶏白湯」が約1年で1千万食に迫る大ヒット。相乗効果で既存の「純連 札幌濃厚みそ」と「桂花 熊本マー油豚骨」の販売も伸長した。22年秋はスープを中心にさらなるハイグレード化を追求。なかでも「天下一品」は新発想で“史上最高のこってり”を実現した。マーケティング部の牛込圭介課長は「誰もが満足していただける再現性を目指した」、中村優作係長は「お店の味と食べ比べてもそん色ないはず」と自信を語った。

老舗店とタッグ、スープにとことんこだわる

「名店の味」は17年9月に立ち上げた。各社のブランド商品がひしめく大口径カップ麺カテゴリーに対し、有名ご当店をシリーズ展開することで差別化を図った。

天下一品 京都濃厚鶏白湯(サンヨー食品) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
天下一品 京都濃厚鶏白湯(サンヨー食品)

開発で最もこだわったのはスープのクオリティだ。牛込課長は「事前のWeb調査でお客様にご当店カップ麺に求める要素を聞いたところ、圧倒的にスープの再現性だった」と振り返る。それらを踏まえ、各エリアで長年にわたり愛され続け、なおかつスープの味わいが個性的な人気ラーメン店をピックアップ。近年は「純連」(17年9月)と「桂花」(18年3月)を2本柱に堅調な売れ行きを見せてきた。

ブランド活性化の起爆剤となったのは「天下一品」(21年9月)だ。京都発祥で現在は全国に約230店舗を構える人気ラーメン店だが、最大の特長であるスープのこってり感をカップ麺で再現するのは至難の業と思われていた。同社では「『名店の味』をブランド化する前から『天下一品』の商品化を検討してきた」(牛込課長)という。今回その高いハードルをクリアすることで念願を成就させた。マーケットに大きな驚きと期待を伴って歓迎されたことは記憶に新しい。初年度(9~3月)の販売実績は先行2品の4~6倍に達する大ヒットをマーク。市場データによると、大口径カテゴリーの売れ筋ランキングで早くもトップクラスに食い込んだ。相乗効果で「純連」と「桂花」の売上もそれぞれ大きく伸長。21年度は「名店の味」として飛躍の1年となった。

「天下一品」高粘度に!秘密は「先入れ粉末スープ」

純連 札幌濃厚みそ(サンヨー食品) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
純連 札幌濃厚みそ(サンヨー食品)

22年秋はブランドとして全品の大幅リニューアルを敢行する。テーマは「さらにハイグレードな高付加価値商品へ!」。なかでも目玉は「天下一品」の大革新(9月26日リニューアル発売)であろう。スープをお店の味と比べてもそん色ない「史上最高のこってりへ」大きくレベルアップさせた。その決め手は新採用の「先入れ粉末スープ」だ。同ブランドは油で揚げていないノンフライ麺を使用しており、フライ麺に比べると湯戻りしにくい特性がある。そのため、スープの先入れはタブー視されてきた。しかし「独自に粉末スープの配合を工夫」(同社)するなどし、新たな発想で“どろっと感”の大幅アップを実現した。

中村係長は「粘度を測定したところ、リニューアル前に比べて大幅に高い数値が測定できた」とし、「お店のラーメンと直接比べても同等のこってりスープであることを実感していただけるはず」と胸を張る。具材には新たに本格的な丸型チャーシューを採用した。

一方、価格は税別350円(現行290円)に設定した。牛込課長は「『天下一品』は非常に個性的なラーメンで、熱狂的なファンが多い。タイアップ品と銘打つからには前回以上にクオリティを徹底的に追求し、お客様に満足していただくことが重要だと考えた。その品質に見合った価格に設定させていただいた」とこだわりを話す。

「純連」と「桂花」はさらにお店の味わいを追求(ともに9月12日から発売中)。前者は芳醇で風味豊かなみその味わいを、後者は香ばしいマー油の風味をそれぞれ強化した。ともに麺を75g(従来70g)に増量。

3品ともカップをΦ180(従来Φ165)にサイズアップ。店舗ロゴとリニューアルポイントを大きく訴求した。

新商品でラインアップ強化

桂花 熊本マー油豚骨(サンヨー食品) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
桂花 熊本マー油豚骨(サンヨー食品)

22年度下期、「名店の味」ブランドでは首都圏の老舗有名店と組んだ新商品の発売を検討中だという。札幌の「純連」、京都の「天下一品」、熊本の「桂花」と合わせ、主要エリアを網羅した強力なラインアップが揃うことになる。

大口径を中心とした高価格帯カップ麺カテゴリーは、コロナ禍による外食控えやお家時間を楽しもうとする傾向を背景に近年はアップトレンドにある。その一翼を担う「名店の味」ブランド。同社は「新しい価値や特別なおいしさに対するニーズはまだまだ衰えないだろう。レギュラーのカップ麺とは別軸で伸ばしていける」と展望する。