ファミリーマートの高付加価値おむすび「ごちむすび」が拡大している理由 シリーズ累計1億5000万食突破

 ファミリーマートの高付加価値おむすび「ごちむすび」が拡大している。

 20年10月に発売開始し2年足らずでシリーズ累計1億5000万食の販売実績を突破した。
これが牽引して、同社のおむすび売上全体における高付加価値おむすびの比率が上昇。20年の13.6%から現在25.3%となっている。

 拡大している理由について、商品本部デリカ食品部米飯グループおむすび担当の田澤勲氏は「この2年くらいで消費者の行動とニーズがかなり変化し、おむすびに限らず、高くてもおいしいものが結構支持されている。そうした中、『ごちむすび』の“ごちそう”になるおむすびのネーミングが合致したのだと思っている」と説明する。

ファミリーマート商品本部デリカ食品部米飯グループおむすび担当の田澤勲氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
ファミリーマート商品本部デリカ食品部米飯グループおむすび担当の田澤勲氏

 「ごちむすび」拡大に伴い、おむすび全体の売上も拡大。

 「21年比、20年比で伸びている。高付加価値おむすびがプラスオンしたほか、定番商品に関してもようやくコロナ前の水準に戻ってきている」という。

 おむすび商品の柱の1つとして「ごちむすび」を引き続き強化していく構えで、13日には「ごちむすび」のこだわりであるお米・海苔・具材の3つに磨きをかけてリニューアル発売した。

 お米は100%コシヒカリを使用し、リニューアルでは炊き上げ方法を追求。「お米が満遍なくふっくら炊き上がった印である“かに穴”ができるように、最適な火力で炊き上げ、お米本来の甘みや旨味を感じられるようにした」。

 海苔は瀬戸内海産海苔の1等級以上を使用し、今回、加工工程を見直すことでより歯切れや口どけがよくなるように仕立てた。

「はらこめし」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「はらこめし」

 ラインアップ4品のうち今回リニューアル発売するのは「大きな鮭はらみ」と「とろさば」の2品で、残り2品との差し替えで「はらこめし」と「比内地鶏の炙り焼き鳥めし」を新発売する。

 「大きな鮭はらみ」や「とろさば」は、調味前に藻塩や塩こうじを用いて熟成することで魚の旨味を引き出している。

 「はらこめし」は、東北地方の郷土料理であるはらこめしをおむすびに仕立てたもので、超特選醤油で味付けしたいくら醤油漬けと北海道産の秋鮭を具材に使用している。
「鮭のだし汁のみならず鮭をごはんと一緒に炊き上げ、ごはんのおいしさをダイレクトに感じてほしいという考えから海苔を巻いていない」と述べる。

 「比内地鶏の炙り焼き鳥めし」も海苔を使用せず、秋田県産比内地鶏を使用し炙り焼きにしたほか、醤油まぶしごはんは、比内地鶏エキス配合のスープと一緒に炊飯。これにより「ごはんと具材の両方で地鶏の旨味が感じられるようにした」。

「比内地鶏の炙り焼き鳥めし」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「比内地鶏の炙り焼き鳥めし」

 秋田県産比内地鶏は、ファミリーマート・伊藤忠商事・農林中央金庫と業務提携契約を結ぶ全国農業協同組合連合会(JA全農)のグループ会社が供給。

 JA全農の五十川豪営業開発部次長は、コロナ禍の外食需要減少と8月の集中豪雨で厳しい環境に置かれる比内地鶏の生産者応援に期待を寄せる。
 「20年に78万羽の生産処理数量は21年に43万2000羽になり、8月中旬の集中豪雨うで1万6000羽を失った。秋田の宝、日本の宝を『ごちむすび』を通じて全国に知ってもらいたい」と語る。

 比内地鶏の魅力については「名古屋コーチン、薩摩地鶏とともに日本三大地鶏の1つで、国が定める地鶏の基準よりも飼育日数が長く平飼いや放し飼いが特徴。飼育密度が低い環境でのびのびと育つことで味わい深く、締まった肉質となり、弾力のある肉と旨味豊かな脂が自慢」と胸を張る。