キユーピーは市販用介護食「やさしい献立」シリーズ全52品のうち31品の賞味期間を19か月から25か月に延長し、9月製造分から順次出荷する。「煮込みハンバーグ」などのおかず商品は、UDF（ユニバーサルデザインフード）のレトルトおかずの中では最長の賞味期間になる。
同シリーズはコロナ禍以降、人手不足を理由とした介護施設での利用が拡大。令和3年度の介護報酬改定に伴い介護サービス事業者に対する感染症や災害時のBCP策定が義務化されたことから（3年間の猶予期間）、現在、施設などで非常食を準備する動きが加速している。施設の非常食は期限の管理や定期的な入れ替えが必要となり、可能な限り長期保管できる商品が求められていた。
同社で「やさしい献立」シリーズの保存性についてあらためて検証したところ、31品で25か月への延長が可能であることを確認。家庭用に加え、介護現場のBCP対応をサポートすべく提案を強化することを決めた。
介護食は通常の食事に比べ、やわらかくする必要があることから災害時の確保が難しいとされてきた。特別養護老人ホームしゃんぐりらで栄養課長を務める増田邦子さんは「当施設では非常時だからこそ食べ慣れた食品が必要と考え、非常食をローリングストックして使っている。賞味期間の延長は予算確保の面でも助かるし、レトルトはそのままでも食べられる点が便利。調理や食事介助に慣れていないスタッフでも安全でおいしい食事を提供できるので助かっている」という声を寄せている。
同社では介護食や育児食などの災害時の確保が難しい「配慮が必要な食事」への備えを提案すると同時に、持続可能な社会の実現に向け、食品ロスの削減にも取り組む。
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