「価値と価格の二極化はさらに進んでいる」。原材料高騰と値上げが広がる今年度上期市況感を、北陸の有力企業トップが述べた。
▼どの業界も人手不足で、原材料費などのコスト増は大きな課題だ。厚労省が8月末に発表した7月度の有効求人倍率は1.27倍と15か月連続の横ばい含む増加基調で、地域別では北陸が1.67倍と全国で最も求人が厳しい。北陸のあるメーカーは、人手不足で一部生産を制限せざるを得ないという。今後も製造ラインの自動化は進めていく考えを語るが、人手による商品作りは強みでもあるという。
▼日本の後世に残すべき伝統料理や地域食材は、家庭を除けば地域のメーカーが多く担っている。そこには人手による製造だからこそ出せる味がある。おせち料理に欠かせない「昆布巻き」は、人手で昆布を巻く。そこにノウハウがあり、機械を揃えてできるものでもないという。機械が入り込むことができない手製造だからこそ成り立つ領域がある。
▼夏休みに帰省し、ファミレスに行ったら配膳ロボットが運んできた。これも時代なのだと思う。「自動化」と「人手の強み」。この二極ももっと進んでいくのだろう。