尾西食品 備蓄食品「一汁ご膳」発売 食べ慣れた「けんちん汁」「豚汁」で

9月1日の「防災の日」を契機に防災食市場が活況を呈する中で、アルファ米トップの尾西食品がアクションを起こす。9月1日からアルファ米と汁物をセットした備蓄食品「一汁ご膳」ブランドを立上げ、「けんちん汁と白飯のセット」「豚汁と白飯のセット」の2アイテムを順次発売する(各270g、内アルファ米80g、オープン価格)。アルファ米と汁物のセット販売は業界初。

同社が7月に行ったインターネットによる非常食についてのアンケート調査によると、避難所の食事で困ったことのトップは「食事の量が足りない」(20%)ことだったが、二番目に「炭水化物が多く栄養のあるものが少ない」(15%)との声があがった。更に「災害時に食べておいしかったもの」を聞いたところ、カレーライス(19%)とご飯(18%)に続き、「豚汁など汁物」が17%と上位にあがった。

古澤紳一社長(尾西食品) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
古澤紳一社長(尾西食品)

一方、同社は昨年、副食の強化策の一環として「カレーハウスCoCo壱番屋」とコラボレーションし、アルファ米とカレーをセットした長期保存食の「CoCo壱番屋監修 尾西のカレーライスセット」を発売したが、発売後は「災害時ではなくてもよく売れている」(古澤紳一社長)と言う。しかも最近は「災害時はご飯だけでは飽きてしまう」との声があり、汁物の要望が強まっていた。そこで、これらアンケート調査及びニーズを踏まえ、カレーに続きアルファ米と汁物をセットした「一汁ご膳」ブランドを立上げ、普段から食べ慣れた「けんちん汁」と「豚汁」をセットアップした。

新製品は単にワンボックスに両品をセットしただけではなく、緊急時の水がない時には汁物でアルファ米をもどすアイデアを採用し、組合せメニューによって新たな需要を掘り起こす考えだ。

伊藤秀朗取締役商品開発部長(尾西食品) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
伊藤秀朗取締役商品開発部長(尾西食品)

また、「災害時の非常食は炭水化物が中心になるため、少しでも野菜を食べて栄養を摂ってほしい」(伊藤秀朗取締役商品開発部長)という想いから、一食でご飯と野菜が摂れ、非常時に不足しがちな栄養素が補える特徴も備えている。更にけんちん汁と豚汁に野菜感を感じてもらうため、あえて大きめにカットした野菜を入れた。緊急時にはテーブルがないことも考えられ、紙箱を変形させて持ち運びができるよう箱型を工夫した(実用新案申請中)。販売チャネルは当面、スーパーやホームセンター、ECチャネルだが、ゆくゆくは法人への提案も進める。