六甲バター、得意のチーズ生かしアイスクリーム市場に参入 ゴルゴンゾーラやブリーなどかび系も

チーズシェアトップメーカー(21年家庭用)の六甲バターは、将来を見据えた「次の一手」(塚本浩康社長)としてアイスクリームや植物性チーズに参入し、事業領域の拡大を図る。アイスは得意のチーズを生かした「チーズアイスクリーム」を8月からクラウドファンディングで先行発売しており、来春一般発売する。また、25年に大阪で開催する「大阪・関西万博」に出展し、植物性含めたチーズ文化の普及に努めていく考えだ。8月22日開催したメディア向け新商品発表会で明らかにした。

冷菓の商品名は、QBB「CHEESE PATISSIER(チーズパティシエ)」(1個80㎖)。チーズケーキによく使われるプレーンな味わいのマスカルポーネではなく、クリームチーズに加えて、ゴルゴンゾーラやブリーという、いわゆる「かび系ナチュラルチーズ」をたっぷり使用しているのが特徴。商品は2種類で、「ゴルゴンゾーラ・ピカンテの塩味が ミルクの甘味と絡み合って 蜂蜜の香りが鼻に抜けるアイスクリーム」と「ブリーチーズのまろやかなミルク感が リンゴの香りと溶け合って 最後はコクの余韻に浸るアイスクリーム」。

冷菓市場でもチーズ系は人気で、その人気市場にチーズメーカーとしての価値を存分に発揮し挑戦する。同社は「チーズケーキ味のアイスクリームとは一味違うチーズアイスクリーム」としている。現在、応援購入サイト「マクアケ」で先行販売。目標金額を大幅に上回り好評を得ている。

一方、25年の万博では、植物性代替チーズのおいしさを訴求したプラントベースメニューを提供する店舗やキッチンカーなどを検討している。

同社がチーズ代替の植物性チーズに参入する背景に、チーズ原料の大幅な値上がりがある。同社は「当社はチーズ加工会社で、その加工技術が最大の強み。チーズらしいおいしさを乳以外の天然素材で作りだし、世界が直面する課題を解決し、チーズ文化を継承していきたい」としている。

また、塚本社長から今上期決算(1-6月)内容の発表があり、今期から会計基準を変更しているが、同基準とした比率は、業務用の回復もあり全売上高は3.4%増、主力のチーズ部門は3.2%増。ただ、チーズ原料高騰などのコスト高で売上総利益率が前年上期の42%から今期は17%と大幅ダウンし、経常利益は約50%減となった。通期は9月からの今年2度目の値上げの影響も考慮して売上高402億円と、同基準比で1.3%減を予想している。