輸入小麦の価格据え置き

政府は10月以降も輸入小麦の政府売渡価格を据え置く方針を固めた。小麦の国際相場は3月上旬に一時、14年ぶりに史上最高値となる1ブッシェル13.6㌦を更新。直近では8㌦を割り込む水準まで軟化したが、急激な円安進行も重なり、価格上昇が懸念されていた。

▼直近4月期の輸入小麦の政府売渡価格は5銘柄平均でトン7万2千530円。08年10月期に次ぐ過去2番目に高い水準で、今年前半の国際相場急騰と円安により、10月期の輸入小麦は2割高が予想されていただけに価格据置は朗報だが、その影響を警戒する向きもある。

▼小麦だけでなく、あらゆる食材が値上がりし、電気代や燃料費、人件費などのコスト上昇も深刻化している。油脂加工品では10月以降、マーガリンやクリームの価格改定が予定されており、包装資材の値上げも現在進行中。主原料以外の価格転嫁も大きな課題だ。

▼内食化傾向が落ち着き、小売業も売上確保と電気代などのコスト上昇に直面している。政府の物価対策による消費の底支えは期待されるが、安定調達確保のためにはコストに見合った価格水準の構築を忘れてはならない。