小学生の頃、給食は週に1回の米飯の日が楽しみだった。家に帰ればご飯が食べられるのに、なぜそんなに待ちわびていたのか。毎日出てくるパンとマーガリンに、飽き飽きしていたからだろう。
▼パン中心の給食か、それともご飯か。世代や地方によって給食体験はさまざまだが、最近は米飯中心の給食で育った若者が多いようだ。現役の小学生もしかり。食育が浸透し、コメを含む地元の農産物をしっかり食べましょうという、地産地消の考えが広がったことが一因と考えられる。
▼世間の流れと同様、伝統的な食品の市場において、主力購買層が高齢化しているという話をよく耳にする。だが、「意外にそうでもない」と佃煮メーカーの社長が話していた。
▼米飯給食に力を入れる地域で個食タイプの佃煮を提供しており、特に甘口の海苔佃煮は子どもたちにも人気という。昔ながらの食材を好むのはシニア以上という先入観は、特にコメ周りの食材には不要かもしれない。パン主体の給食で育った中高年世代より、今の子どもたちの方が小さい頃からご飯に親しんでいるはずだから。