気のゆるみはないか

先週末、祇園祭のハイライトとされる山鉾巡行が3年ぶりに開催された。長刀鉾を先頭に、20を超える山や鉾が巡行する様はテレビでも生中継されたので、ご覧になった方もおられたことだろう。

▼祇園祭は、疫病が流行するなか、無病息災を願い執り行われた祇園御霊会が起源とされる。疫病は、疫神や怨霊の祟りと考えられたため、疫神や怨霊を鎮めなだめるため御霊会が行われた。当時の都人は疫病や天変地異は御霊の仕業としか考えられなかったのだろう。

▼世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延、人知を超えた天変地異の頻発は、最新の科学をもってしても完全には説明できない。本当に疫神や怨霊の仕業かもしれない、などと考えさせられた。

▼1千年前と比べ、飛躍的に科学が発達した現代でさえ、ウイルスによる感染症を制御することはできない。コロナ禍が続くなかで学んだはずだが、新規感染者数が過去最高を更新する事態になっても緊張感は乏しい。慣れや気の弛みはないか。当初感じたはずの恐怖や無力感を思い出し、いま一度、各自の感染症対策を検証すべきだ。