2月期決算主要GMS(総合スーパー)の2023年2月第1四半期業績は、全体的に利益改善が進んだ。平和堂は減益だが前向きな投資の結果。既存店売上高はほぼ前年並み。客単価の内訳は、1品単価増、買上点数前年割れというトレンド。加工食品業界での値上げラッシュの影響も考えられるが、「第1四半期については新型コロナの流行による行動制限があった2年間のまとめ買いで一品単価、買上点数ともに伸びた反動減ととらえることもできる」との指摘もあり、第2四半期以降のトレンドが注目される。
イオンリテールは、食品売上高が堅調に推移したことに衣料品の回復が重なり増収。水道光熱費は上昇(前期比18億円増)したものの、生産性改善に向けた施策(人件費23億円減など)により吸収したことで大幅な改善を示し、黒字転換させた。第1四半期の黒字は2013年以来。同社では「過去2年間の構造改革の成果が逆風下における大幅増益、黒字化につながった」としている。
加工食品業界で価格改定が相次ぐなか、価格凍結で話題となったイオングループ全体のPB売上高はトップバリュベストプライス8%増、トップバリュ2%増、グリーンアイ7%増など。価格コンシャス、オーガニック・ナチュラルへのニーズがけん引している形だ。
イトーヨーカ堂は第1四半期、PBの開発・拡大、デリカの強化、適正価格の設定といった施策により粗利の改善を図る一方、デジタルプライスカードやセルフレジの導入促進といった生産性改善施策、業務集約に向けたバックルーム改革を進めたことなどが利益改善に寄与した。
グループPB「セブンプレミアム」については、アイテムが前年比470減となった影響が出たが、売上高は4.3%減にとどめた。
イズミ単体は増収増益。増収効果に加え、人件費の圧縮(2.9%減)などにより水道光熱費の増加(28.7%増)をはじめとする減益要因をカバー。既存店売上高は客数客単価とも微減だが、客単価の内訳は1品単価2%増に対し、買上点数2%減という状況。
平和堂は増収に対し営業利益二ケタ減。水道光熱費(25%増)、人件費(1.4%増)、販促費(15.1%増)などにより販管費(3.8%増)が膨らんだが、同社では「顧客満足度と販売力向上、生産性改善のための投資を積極的に実施したことで、投資に伴う一時費用が増加」と前向きな投資の結果ととらえている。既存店客単価は、買上点数(1%減)を1品単価(2.9%増)でカバーした。