伊藤忠食品は14、15の両日、インテックス大阪(大阪市)で「夏季展示会 FOOD WAVE2022」を開いた。大阪での開催は3年ぶり。「新しい食のトビラ」をテーマに掲げた今回は271社が出展、得意先約6千人を招待した。出展メーカーの内訳は食品165社、酒類52社、業務用31社、デリカ3社、チルド20社。
「中計が始まって以来、大阪で展示会を行うのは今回が初めて。その重点分野を組み込んだものになっている」と魚住直之常務が話す通り、入口ではスーパーの店舗を再現し、注力しているデジタルサイネージの活用法を具体的に示した。
このうち、青果売場では秋冬の主力メニューである鍋に焦点を当てた。単に鍋料理を紹介するだけでなく、鍋で余った白菜を利用した韓国料理、さらにはそこで使った韓国調味料でほかのメニューも提案。「店で売り切るだけでなく、家庭内で使い切ってもらう。こうした店頭での販促が食品ロス削減にもつながる」と担当者は強調する。
同じく重点分野の一つであるデリカは「惣菜バイヤーが求める新しいカテゴリーの商品、原料から半加工品まで、店の差別化が図られるものを集めた」(営業第二部・岡﨑忠彦部長)。飲食店ではパスタや寿司に使われるというワタリガニのフライ、人気外食店「SABAR」とコラボしたさばカツ、パウダーを利用し出来たて感を演出したデリカスイーツなどを紹介した。
このほか、加工食品では関西の各全農と地元メーカーがタイアップしたレシピ提案、サステナビリティゾーンでは大阪や九州の商業高校がメーカーと開発した調味料など、地域ならではの取り組みや商品を随所でアピール。ギフト・ECゾーンでは大阪の大正センターで始めたアセンブル機能を紹介。「オリジナルな商品を作り、新たなビジネスとして確立させたい」(西日本営業本部・緒方学本部長)考えだ。
岡本均社長は展示会について「久しぶりの開催で、リアルの良さを改めて感じている。その良い部分を今後、WEB展示会でどう実現するかを考えながら、ハイブリッドで行う強みを発揮していきたい」と話した。
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なお、緒方本部長は会見で次の通り語った。
3年ぶりのリアル開催となり、顔をつき合わせ笑顔で商談されている姿を見て、コミュニケーションの大切さを改めて感じた。原料高などの問題はあるが、みんなで一緒になって乗り越えていきたい。
モノの値段が上がり、この20~30年の生活でインプットされた売価が崩れ始めている。消費行動が大きく変わると予測される。そうなると定番の活性化が必要だ。サイネージを活用しメーカーや生産者の気持ちを伝えることで、需要喚起を図っていきたい。