大手コンビニ各社は専門店品質に照準を合わせてスイーツを強化している。
継続するおうち時間が背景。2年強に渡るコロナ禍の影響で、それまで人流に支えられてきたコンビニも変化対応を余儀なくされ目的買いされる品揃えが一層求められる。
目的買いという点では、コロナ禍でネットや宅配サービスを使い専門店からスイーツを取り寄せる動きが競合となる。
この点に着目し、セブン-イレブン・ジャパンは生活者の味覚水準が向上していると判断し定番のチルドスイーツを大刷新した。
“街のスイーツ屋さん”を目指して、セブン-イレブンの一番の基本素材とされるホイップクリームほか、カスタードとスポンジ生地を大幅に改善して「シュー・パティシエール」(6月19日発売)「イタリア栗のモンブラン」(6月16日発売)「こだわりチョコのカスタードエクレア」(6月14日発売)などの洋菓子・基本商品を順次発売し、和菓子の定番スイーツにも磨きをかけていく。
セブン-イレブンの平田哲也商品本部デイリー部ベーカリー・スイーツシニアマーチャンダイザーは「昨年は他のカテゴリーと比べると落ち込みがみられ、スイーツの課題として1つ1つの基本素材をおいしくしていかなければならない。お客様のおいしさの基準が一段階上がっていると考え、もう一度、専門店を目指していく」と意欲をのぞかせる。
ローソンは、バター専門店やモンブラン専門店といった素材やメニューにこだわった特化型専門店が19年に続々オープンしたことを受けて、20年10月からスイーツの「Uchi Cafe Specialite(ウチ カフェ スペシャリテ)」シリーズを展開している。
今年はこの展開に加えて、卵に特化した専門店が増加傾向にあることを受けて、クリームに次ぐチャレンジとしてカスタード商品を強化している。
ローソンの東條仁美商品本部ベーカリー・デザート部シニアマーチャンダイザ―は「カスタードクリームは従来から支持されている人気アイテムではあるが、ここ数年で卵の専門店が増え始め、特に昨年頃から、有名な洋菓子店屋が卵の専門店を出店するなどその傾向が強まっている」と説明する。
カスタード商品の目玉として3月14日に発売開始した「生カスタードシュークリーム」は、発売開始から4日で累計販売数約124万個を記録し、ローソンのウチカフェスイーツ史上2番目の速さで販売数100万個を突破した。
直近では、GODIVA監修スイーツ「Uchi Cafe×GODIVA」シリーズから「ショコラヴァニーユロール」と「エクレールショコラ」の新作スイーツ2品を発売している。
ファミリーマートは、直近の動きとしてクレープ皮の“もちもち食感”を追求。通常の開発期間の倍以上となる8ヵ月かけて「ファミマ・ザ・クレープ」開発し6月21日に2種類を新発売して発売3日で累計販売数120万食を突破した。このスピードはファミマのスイーツ史上最速だという。
ファミリーマートの杉本隆彦商品本部FF・スイーツ部スイーツグループスイーツ担当は「“もちもち”というワードはここ10年くらい上位を占めている食感。クレープ粉の配合ほか、焼き方・焼く時間・焼く温度の全てが合致しないと、絶妙なもちもち感が出せず、その調整に苦労した。実は、もちもちし過ぎてもおいしくなく、メーカーさまのご協力のもと試作とモニタリングを重ねながら編み出していった」と説明する。