カゴメが建て替えを進めていた名古屋本社ビル「カゴメビル」が23日に竣工した。鉄骨造り、地上11階建てで、1~5階をカゴメグループが使用し、6~11階はテナントフロアとなる。
建物低層部の外観や1階のキッチン空間の内装は、社名「カゴメ」の由来であるトマトを収穫する際の「籠(かご)の目」をモチーフとしたデザインを採用。また、1階キッチンでは得意先を招いての新商品提案やメニューの試作などを行うほか、VR技術を活用した農場見学やライブ配信など新たな機能も付加。27日から業務開始している。
「2020年7月に建て替え工事に着手したカゴメビルだが、本日無事に竣工となった。カゴメは社員にとって働きやすく、働きがいのある会社になりたいと強く願っている。社員一人一人が時間や場所に制約されず、業務の内容に応じて自律的に仕事の内容を設計できる。あるいはオフィスに人が集まれば自然とミーティングが始まり、新しいビジネスのアイデアなどが次々に生まれる。この新しいカゴメビルをそんな働き方のできる場所にしていきたいと考えている。新しいカゴメビルが栄のシンボルとして、地域の皆さまに長く親しんでいただけることを心から願っている」。同日開催されたメディア内覧会で、同社・山口聡社長はこう語った。
カゴメビル(名古屋市中区錦三丁目14番15号)は
①働きやすく、働きがいを持てる職場
②人(=健康)と環境にやさしいこと
③カゴメの情報発信拠点を兼ねていること
――がコンセプト。
カゴメグループが使用する1~5階のうち、2階と4階を執務フロア、その中間に位置する3階をリフレッシュスペースに充て、5階を会議室フロアとした。1階には歩行者に向けた情報発信を目的にLEDビジョンを設置。夜間はビル全体をライトアップする。
1階の「カゴメキッチンファーム名古屋」は、野菜と暮らす楽しさを提供する情報発信・体験拠点の位置付け。取引先向けの新商品発表会や料理講習会、オンライン工場見学などに活用していく。VRヘッドセットを使ったコンテンツでは、長野県にある「野菜生活ファーム富士見」のバーチャル見学を体験できる。
「『野菜の会社になる』というビジョンを掲げる中で、畑から価値を生み出したいとの気持ちを込めて『ファーム』という言葉を入れた。そこにはカゴメの想いが詰まっている」(山口社長)。
また、同社では全国にキッチンを15か所持つが、今回の新ビルを手始めに順次「カゴメキッチンファーム」に刷新。ロゴや仕様を統一し、VRなど新機能を装備していく。23年3月に全キッチンの切り替え完了を予定する。