ポッカサッポロフード&ビバレッジのレモン飲料主力ブランド「キレートレモン」が好調を維持している。
ブランド計の前期(12月期)販売数量は前年比20%増を記録し2016年から21年の6年連続で過去最高を更新。
旗艦商品の「キレートレモン」(155ml瓶)が過去最大の出荷数量となったことに加えて、派生商品が軒並み好調となった。
中でも20年の発売開始から高い伸びを続けて今年の最注力商品と位置づけられるのは「キレートレモンWレモン」(500mlPET)。21年には二桁増を記録した。
「Wレモン」の好調の背景について「疲れの質が変わった」と指摘するのは、取材に応じた吉田真子レモン・プランツミルク事業本部オールレモン事業部商品戦略グループリーダー。
「コロナ禍の外出自粛でカラダだけではなくココロも疲れてしまい、クエン酸を豊富に含むレモン果汁を摂ってリフレッシュしようとする動きがある。特に昨年は疲れを解消したいニーズが物凄く高まった」と続ける。
このニーズの高まりに同社は「Wレモン」の導入を拡大して対応。
「スーパー・量販店さまの取り扱いが広がっていることに加えて、他の果汁炭酸飲料に比べて回転(販売)も好調に推移し、導入と回転の“ダブル”で伸ばしている」と述べる。
果汁炭酸飲料市場の低迷が推察される中、「Wレモン」は健康を意識した中味設計で一線を画していることも奏功している。
「競合の果汁炭酸飲料は嗜好系に寄った商品がほとんど。その中で『Wレモン』はレモン2個分の果汁が入った健康系に寄った商品で、レモンの果汁感やすっぱさを求めるお客さまにご支持いただいている」と説明する。
今期は、勢いのある「Wレモン」に注力して「キレートレモン」の連続成長を目指す。
「店頭導入率が競合商品に比べてまだまだ低いことから、好調の回転実績を持って導入拡大を図っていく」と意欲をのぞかせる。
そのための施策として3月7日には、「Wレモン」と「キレートレモン無糖スパークリング」(490mlPET)をリニューアル発売した。
「Wレモン」は、後味の甘さを抑えてよりすっきりした味わいにしてパッケージも刷新。
「旧パッケージでは“ゴクゴク飲み続けられる”点が伝わりにくかったため、イエローの色調を強めて基調となるグリーンの色調を和らげ明るくし、“重たい”“味が濃い”といったイメージの払拭を図った」と語る。
滑り出しは好調で、主に「Wレモン」と導入拡大している「キレートレモンクエン酸2700」(155ml瓶)と「キレートレモンクエン酸2700ゼリー」が貢献して1-5月の「キレートレモン」は金額ベースで3%増となった。
「クエン酸2700ゼリー」と「クエン酸2700」(155ml瓶)は20年の春・秋に機能性表示食品として発売して以降、“疲労感軽減”のヘルスクレームが受け入れられて好調に推移している。
特に「クエン酸2700ゼリー」は“疲労感軽減”が強みとなり、ゼリー飲料市場が20年にコロナ禍で大打撃を受けた中、好調となった。
「無糖スパークリング」はECで好調。今春からは自販機での販売を開始した。
「フレーバー炭酸水ではなくレモン1個分の果汁が入っていて、レモンのコクが味わえる点が特長で、22年春にはその特長を伝えるためにデザインのリニューアルも実施したが、依然店頭導入が課題となっている。『Wレモン』のスコアがよい流通企業さまには商品の可能性を感じてもらい導入されているので、少しずつ広げていきたい」という。
夏場に向けた取り組みとしては、6月中にWEB広告「リフレッシュだけじゃ続かない」篇の配信を予定。
「他のレモン炭酸飲料と差別化を図るため、リフレッシュという基本のベネフィットに加えて“モチベーションまで上げてくれる”ともう一段高い訴求をしっかり伝えていく」考えだ。
ツイッターでは6月6日から19日の応募期間で「疲れた時のリフレッシュ&モチベUP診断」と題したプレゼントキャンペーンを実施。診断結果を投稿してシェアすると抽選で500人に「Wレモン」1ケースが当たる内容で展開している。
レモン事業全体では、女子プロゴルファーの稲見萌寧選手出演の企業CM「まいにちが、わたしになっていく。」や社内外のレモンアンバサダーでもコミュニケーションを強化している。
社外のレモンアンバサダーには、稲見萌寧選手をはじめプロ野球の杉谷拳士選手・陸上競技の寺田明日香選手のトップアスリートを起用している。
夏本番の熱中症対策飲料としては「キレートレモンCウォーター」(500mlPET)と「キレートレモン シーサプライ」(900mlPET)を取り揃える。
レモン飲料全体では「キレートレモン」はじめ「LEMONMADEオリジナルレモネード」(500mlPET)「レモン果汁を発酵させて作ったレモンの酢ダイエットスパークリング」(350mlPET)など多彩にラインアップしている。
この中で「レモンの酢ダイエットスパークリング」はビネガードリンク市場の拡大を受けて開発された「レモンの酢」シリーズの派生商品で、昨秋にチルド売場で発売された「レモンの酢ダイエットストレート」(125mlBP)に続く動きとなる。
市場について「果実酢カテゴリーが物凄く伸びている。従来は黒酢主体のカテゴリーだったが、コロナ禍の健康志向の高まりとお家で過ごす時間が長くなったことで領域を広げて拡大している」との見方を示す。
こうした中、同社は従来品の認知拡大も目的に食酢棚以外のアプローチを強化。「お酢には美肌効果や整腸効果があるとされ美容ニーズに対応しているが、お客様の層が狭く定番をとるのが難しい。引き続きチャレンジしていく」と意欲をのぞかせる。
冬場は昨年、ホットレモン飲料市場で3年連続No.1の販売実績をあげた「ぽっかぽかレモン」ブランドにも期待を寄せる。